河畔に咲く鮮花  

第一章 三輪の花 1:義鷹の思惑



  次の日、雪は意思も確認せずに、学園に蘭の編入手続きをすると張り切って出かけて行った。
 雪と義鷹が通う学園は下慮が入れないような場所だ。もちろん商売人がどれだけお金を積んでも入れない。そこは、覇者と貴族が通う学園である。九年制度で、その上に四年間院生があるそうだ。
 雪はその学園では、五年生。蘭は三年生に該当する。義鷹は学園には出向かずに、なにか考え事をしているようだ。
「どうしたんですか? 義鷹様」
 物思いに耽り、縁側に座る義鷹はふとこちらに顔をねじる。
 そして、立ち上がると部屋に入って来て、明るいのに障子をぴしゃんと閉めてしまった。
 和室は急に暗くなって、蘭は顔をしかめた。障子の前で義鷹はいつもと違って張りつめた表情をしている。
「義鷹様……?」
 なにか自分が粗相をしてしまったのか急激な不安を覚える。花のような美しい笑顔を浮かべる人が、今日は暗い影のようなものを瞳に刻んでいた。
「蘭、少し調べたいことがあるんだけど、いいかな?」
 義鷹はいつもの柔和さを醸し出し、空気がふっと和らぐ。
「はいっ、義鷹様の調べ物ならお手伝いします」
 義鷹の役に立つことが嬉しく蘭は声を張り上げる。だが、次に発せられる義鷹の言葉に体が固まるのだった。
「蘭が本当に処女か調べるけどいいよね?」
 それは問いではなく、決定した事項のように述べる。
「あ、あの義鷹様。私の言うことは信じられないってことですか?」
 胸がざわめき蘭はたじろいだ。だが義鷹は笑みを口元に留めたまま言葉を発さない。
 その綺麗な――とても綺麗な微笑が、なぜだか今日は怖く見えて、うすら寒さを覚えた。
 蘭が言葉を詰まらせていると、すっと優雅に歩いて義鷹は自分の上等な羽織物を畳の上に敷いた。ここで調べるということなのだろうか。蘭は急激な不安に陥り、ごくりと唾を飲み込む。
「これは蘭の為でもあるんだよ」
 優しい笑みで話しかけてくると、義鷹は首を少し傾げた。
「私の為ですか?」
「そう、蘭は雪様の小姓となった。その仲介役をしたのはこの私。蘭が処女と言ったならば、それを把握するのも務め」
 そう言われたら最もな言いぶんのように聞こえる。
「もし、仮に処女じゃなかったとしたら? 雪様はあの気性。本当にお前の家族を皆殺しにする。そんなの嫌だよね?」
「そ、そんなの困ります! 私、嘘を吐いていません。この身で潔白を証明します」
 思わず義鷹の口車に乗せられ、蘭はそう返してしまった。言ってしまった手前、撤回は出来ない。
『良く出来たね』
 そんな義鷹の心の声が聞こえて来た気がして、蘭は後悔する。
「もっとちゃんとしたところで調べたいけど、我慢してくれるかい?」
 義鷹はにっこりと微笑むと、蘭に羽織りの上に座れと促す。蘭は仕方なく座りこみ、音も立てずに歩いてくる義鷹を見上げた。義鷹が座りこみ、同じ目の高さに綺麗な顔が飛び込んでくる。蘭は息を呑み、義鷹から発せられる花の香に酔いそうになった。
「緊張しなくていいよ。さぁ、蘭、自分で脱げるかい?」
「し、下だけでいいですか?」
 義鷹から与えられた簡易な着物。下着だけを脱ぐという意味で問うてみた。
「いいや、全部だよ」
 だが義鷹の言葉は想像とは違っていた。目を丸くしていると、義鷹が帯に手をかけ、あっという間に解いた。
「あっ!」
 乱れた襟元を正そうとするが、義鷹の手によって押しとどめられる。
ゆっくりと手をどかされて、義鷹は蘭の着物を脱がせた。襦袢だけになるが、義鷹はそれも優しく取ってしまうと、ショーツを着けただけの姿になった。
「大丈夫。緊張しないで。優しくするから」
 義鷹が耳元で優しく囁く。耳がくすぐられて、蘭は全身を粟立たせた。
「ふふふ、可愛い反応だね」
 義鷹はそう言うと、ねっとりとした舌で蘭の耳を食んだ。
「んっ、義鷹様……」
 これも処女を見極める為の行為なのか分からず蘭は体を強張らせた。
「義鷹様……それで処女かどうか分かるんですか」
 疑問を投げかけると義鷹はにこりと微笑んだ。
「そう、反応で分かるんだよ。だから、これからたっぷり時間をかけて見るからね」
 たっぷりとはどのくらいの時間を言うのか。それすらも分からず、蘭はふと義鷹を見つめた。
 義鷹の目に興奮が窺えたのは気のせいだろうか。まさか、女性的で柔和な義鷹が、雪のように獰猛で荒々しいわけがない。
 それに悔しいが、義鷹はきっと言い寄られる女性も多いはず。蘭より色気があり、綺麗な娘も多く相手にしているはずだ。経験も豊富で、優しくしてくれるなら、恥ずかしいけどいい。蘭はそう思い、義鷹に身を委ねた。
 義鷹は蘭が大人しくなったのを見てか、指をいきなり唇に突っ込んでくる。
「んっ……」
 目を瞠る蘭だが、義鷹は人差し指で遠慮なく口内をまさぐった。
「あっ、んっ……」
 人差し指が、舌を捉えると義鷹は優しく言う。
「蘭、指をしゃぶって。さぁ」
 言うや義鷹の指が舌の上で動く。
「舌を使い、しゃぶって。そう、飴を舐めるようにね」
 義鷹の言う通り、蘭は舌を動かせて指を舐めたり、絡め取ったりした。
「そうそう、なかなか上手だよ。いい感じだ。今度ははしたなく音を出して舐めてごらん」
 義鷹の指が蘭の唇から抜き差しされる。
 蘭は言われた通りに、わざと音を出して義鷹の指を吸ったり舐めたりした。ちゅぽちゅぽと義鷹の指が抜き差しされる度に激しい音が室内を満たす。
「ああ、すっかりふやけてしまった。蘭は困った子だ」
 義鷹は指を抜いて、それを自分の口に含んで舌で舐めとった。くすくすと笑い、義鷹は蘭の胸に視線を巡らせる。
 義鷹が近付いて来て、蘭の首筋をちゅうっと音を立てて吸った。
「ああっ」
 義鷹が何度も蘭の首筋を舌で舐め上げる。そのたびに体がわなわなと震えた。
「可愛い反応だね。やはり処女なのかな?」
 義鷹の声にはどこか楽しげな色が含まれている。そのまま義鷹の唇は首から鎖骨に滑り落ち、今度は胸の膨らみに到達した。少しざらついた舌先が蘭の胸の突起を舐め上げる。
「んっ……」
 ねっとりとした感触に蘭は体が熱く火照り始めた。義鷹は吸いあげ、唇に含み舌先だけで捏ねまわす。
 余った手をもう片方の胸の膨らみに持って行き掬うように揉みしだいた。
「いい形をしてるね。こうやって揉むと、嫌らしく形を変えていくのが丸分かりだよ、蘭?」
 そう言って義鷹は一層、力を込めて胸を激しく揉み上げる。
「んっ、義鷹……様……強いで……す」
 義鷹からは想像出来ない力強さを感じて、蘭は驚きを隠せない。
「そう……かな。んっ、これぐらい……雪様よりは優しいよね……んふっ」
 義鷹は胸を舐め上げながら、卑猥な言葉を吐く。
「そんなっ……もしかして……聞こえていたんですか……?」
 昨日の雪との行為が聞こえていたのかと蘭は頭が真っ白になる。あのような声が聞こえていたとは恥ずかしかった。
「あれだけ、大きな声を出されたら、嫌でも聞こえるよ。どうだった? 雪様の愛撫は」
 意地悪な質問を投げかけ、それでも執拗に義鷹は胸を舐め、片方では押しつぶしように揉みし抱く。
「あっ……やっ……義鷹様……激しいっ」
 身もだえながら、蘭はぶるぶると体を震わせた。
「こちらはどうだった? 気持ち良かったかい?」
 そう言って義鷹の手は蘭のお腹を撫で、内腿の擦った。優しく内腿の上下に何度も撫でられ、蘭は頭がくらくらとする。
 何度目かで義鷹の手は蘭の秘められた場所に到達した。ビクンと蘭の体は震える。秘丘を手の平で揉むようにまさぐられて、ぞくぞくと毛穴が粟立つ。
「可愛いね。ここだけでこんなに反応して」
 耳元で囁かれて蘭は感じる。くすぐったいのに、なぜか体がじんじんと痺れてくる。
「もっと気持ちよくしてあげるね」
 くちゅりといやらしい音をたてて、義鷹の指先が秘部に埋まった。
「ああっ……!」
 ショーツ越しだが、すっかり潤んだそこは義鷹の指を咥えこんでいる。
「なんて、いやらしい子だ。こんなに濡らして。お仕置きが必要だね」
 義鷹の瞳に獣のような情欲が刻まれる。蘭はぞくりとして、慄いた。見かけと物腰だけで義鷹を判断してしまっていた。
 本当はとても熱くて、烈(はげ)しい人なのかも知れない。そんなことを思うのも束の間、義鷹の繊細な指はショーツの上から秘部の割れ目をなぞる。
「んっ……あっ……」
 その反応を楽しんでいるように、指はゆっくり上下に動かされる。すっかり濡れた秘部はなぞられる度に、ぬちゅと淫猥な音を出した。
「どうなっているか見てみようね」
 急に体は起こされ、義鷹は蘭を自分の膝の上に乗せた。蘭は義鷹に後ろから抱えられて、座らされる。
 蘭は義鷹の胸板に背中を密着させた状態で、お互いが同じ方向を見るといった姿勢だ。
 すぐに両足は義鷹の足に寄って広げられ、蘭は股を大開きさせられる。濡れて冷たくなったショーツが張りつき不快感が募った。
「冷たいかい? 蘭のおつゆが凄いからね。脱ごうか」
 義鷹は後ろから囁くと、ショーツを剥ぎ取り蘭の秘部は露わになった。


 




 





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