河畔に咲く鮮花  

第二章 十四輪の花 1:交錯する想い


 * * *

 
屋敷で公人と蘭の生活が始まり、随分と時が経っていた。  
 蝶子は相変わらず不在で、屋敷に戻って来ることはない。
 いっそ、このまま戻ってこなければいいのにと蘭は密かに思ってはいたが。  
 蘭が稽古事に時間を費やしている時は、公人は庭で竹刀を振って、まめに鍛錬を行っていた。  
 公人はいつもと変わらず、人形のように感情のない顔に戻っている。  
 会話しても、無表情で抑揚もない喋り方。  
 あの時は夢だったのかとうつろに考えたが、公人の乱れた表情や、熱い瞳を思い出すとまたあの快感の波が襲いかかってきた。
――道具。僕の道具をいつでも使用して下さい。   
 夢うつつに聞いた公人の言葉を思い出し、蘭はごくりと喉を鳴らす。  
 上半身を脱ぎ捨て竹刀を振り、若い肌は汗を弾く。  
 公人の滑らかな肌を伝う幾筋の汗もなまめかしく興奮を掻きたてた。  
 駄目だと思いながら、蘭は道具が使いたくなる。  
 一度知った甘美で淫らな道具の味は止められない。  
 掻き立てられる興奮を押さえながらも蘭は我慢をした。  
 数日はそれで良かったものの、また子宮の奥が疼き始める。  
 自分が淫らになってしまったと蘭は嘆くが、公人を見るとその欲求が押さえられなかった。
「公人君……公人君の道具……使いたい……」  
 蘭は自分で言った後で、ハッと口を塞いだ。  
 公人はその瞬間、人形の仮面を剥ぎ捨て、妖艶な笑みを浮かべる。  
 それを見ただけで蘭の背筋はぞくりと震えた。  
 また淫らに喘いで、腰を振る乱れた公人が見たい。  
 公人はスッと服を脱ぎ捨て、蘭の前に立った。
「蘭様、お使い下さい。僕の道具を。これはおもちゃなのです。好きなようにいつでも使っていいのですよ?」  
 公人の瞳に欲情が浮かび、蘭の興奮を掻きたてる。  
――この顔が見たかった。  
 そう思いながら、見上げていると、公人の暖かい唇が落ちてくる。
「んふぅ……蘭様……僕の全ては……あなたの……道具。この唇も……手も……これも……」  
 公人は激しく蘭の口腔内を貪り、手で胸を揉みしだいて、すでに雄々しく猛り狂った肉棒をお腹に擦りつけてきた。
――全てを使っていい道具
 そう言われると蘭は分からなくなってくる。
 もっと大事なことを思い出さないと。そう思うのに。  
 でも公人は蘭の為の道具だと、甘く囁く。  
 そんな甘美な誘い文句を囁かれ、公人の全てを支配出来ると思えば理性が吹き飛んだ。
「公人君……」  
 公人の人形のような顔に色気が帯びてくると、蘭の欲情を激しく掻きたてた。    
――もっと、もっと乱したい。  もだえ、喘ぐ公人を見てみたい。
我慢が出来なくなり、蘭はお腹に擦りつけられている公人の肉棒を手に取った。
「……はぁっ……蘭様……どうですか、僕の道具は………?」
 上下に擦すると公人はなまめかしく喘ぐ。
「す……ごい……こんなに……堅いって……思わなかった……」
 初めて公人の肉棒を触り、蘭は興奮する。若くて雄々しい肉棒は熱く滾り、角度を立てて反り返っている。
 鈴口からも粘り気のある蜜が滴り、むせかえるほどの若い雄の臭いがした。
「はぁっ……公人君の道具……すご……い。……香りが……興奮する……」
 蘭は粘ついた蜜を指で絡め取り、大きく張った傘に塗り込んだ。
「ああっ……蘭様っ……」
 公人はびくびくと腰を引いて、淫らに喘ぐ。蘭はその声を聞いただけでも、じわりと秘部が潤ってきた。
「公人君……もう……だめ……使わせて……早く……寝て……」
 蘭が言うと公人はベッドに仰向けに寝る。
 自分でも大胆な行為に驚きながらも、公人の上に跨った。
 一瞬理性が戻るが、公人の言葉によりすぐに掻き消される。
「さぁ、蘭様、僕の道具を味わって下さい。いやらしい蘭様に咥えこんでもらいたいって言っています」
 公人が妖艶に笑い、自分の肉棒をぴくぴくと震わせる。
――ああ、道具が待っている。物欲しそうに待っている。早くあげなきゃ。
 蘭は惚けながらも、ゆっくりと腰を落としていった。
 ずぷりと傘を蜜口に押し当て、ゆっくりと受け入れていく。
「ああっ……蘭様……良く見えますよ。僕の道具をおいしそうに飲み込んでいく、あなた様のいやらしく卑猥な部分が」
「そんなっ……恥ずかしいこと……言わないで……はあっ……」
 粘膜を押し広げ、貪欲に公人の肉棒を咥えこみ蘭はぶるりと背中を震わせた。 
「はあっ……蘭様のが……僕の道具を……全部……咥えこんで……ひくひく蠢いています……いやらしい人ですね……さぁ、もっと味わって下さい」
公人の囁きが合図になって、蘭は上下に腰を振りだした。
「さあ……蘭様……もっと、もっと、前後に振ったり、掻き回して……下さい……僕を支配して……」
 蘭の脳は甘美にな声に酔い、公人の言われたまま前後に振ったり、腰を押し付けて踊り狂う。
 接合部分から卑猥な音が響き、蘭は公人の道具を味わった。
「はぁっ……公人君……すご……い……」
「ああっ……蘭様っ……もっと僕に溺れて……下さい……」
 なまめかしく喘ぐ公人を見て、蘭の脳は痺れる。公人は蘭の腰を掴むと思い切り下から突き上げてきた。
「ああっ……んっ……公人君……はげ……し……」
 公人に突きあげられ、蘭の体は激しく揺さぶられ、全てが崩壊しそうになった。淫らに髪を乱して喘ぐ公人の顔を見て、劣情が蘭を掻き立てる。
「蘭様っ……蘭様っ……も……駄目……です……僕の口を塞いで……下さい……はあっ……」
 蘭は公人に覆いかぶさり、唇に吸いついた。公人が蘭の背中に手を回し、腰を激しく突きあげる。
「んっ……公人君……す……ご……そんなに……されちゃ……だめ……」
 公人は蘭の腰を離してくれず、狂ったように熱い肉棒で突きあげた。
 じっとりとした汗が二人の体を火照らせて、蘭は快感の波がせりあがってくる。
「蘭様っ……も……で……そう……です……」
「公人君……私……も……ああっ……」
 公人が激しく抽送を繰り返し、蘭の意識は白く飛んだ。びくびくと背中がのけぞり、膣奥が収斂して、公人の肉棒を限界まで締めあげた。
「ああっ……蘭様……で……る……はぁっ……ああっ」
 公人も蘭の奥に若い雄の精をびゅくっと吐き出す。蘭はそのまま公人に倒れ込み、はぁはぁと肩で息を吐いた。
「ああ……蘭様……もっともっと……僕を狂わせて……」
 公人は蘭の髪を愛しそうに撫でながらキスを落とす。そのまま蘭と公人はしばしの余韻に浸っていた。
 ――もう、何も考えられない
 蘭はけだるい体のままそっと目を閉じて、意識を闇に手放し深い眠りについていった。






 





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