河畔に咲く鮮花  





 「アユリっ……アユリっ……」
 アユリの白い肌に映える赤い花を見つめながら、甘美なる官能の世界へのめり込んでいく。
「泣きそうになるぐらい気持ちいいでしょ? 蘭姉ちゃん……」
 くちゅくちゅと蘭の秘裂の間に埋め込まれたアユリの指が卑猥に鳴り響き、蘭は恥ずかしさも忘れて、アユリの名前を何度も呼んだ。
「アユリっ……いいよっ……アユリっ……アユリっ……」
「蘭姉ちゃんっ……もっと名前を呼んで……もっと俺の名前を呼んで……ああっ……」
 アユリの嬉しそうで、そして泣き出しそうな表情に胸は締めつけられる。
「ああっ……はっ……ンっ……」
 アユリの指はまたなぞるように移動すると、またぐっと角度を変えては蘭の中を遠慮なくまさぐった。
 左側の濡れ襞を指で押し広げられた瞬間に、先ほどとはまた違う快感が全身を駆け抜ける。
「ああっ……もう一つ見つけちゃった。蘭姉ちゃんの気持ちいいところ。ここも開発されるの初めて? ねぇ、教えて」
 アユリの囁く話し方は、甘く強い酒のようで、その感覚に溺れてしまいそうになる。
「うん……凄い……そんなところ…ああっ……んっ……初め……て……んっ……」
 蘭の腿はわななき、敏感なところをまさぐるアユリの指を貪欲に飲み込んだ。
「そう……初めてなんだ……」
 蘭の返答を聞いて、満足したのかアユリは密やかに笑う。
「蘭姉ちゃん、三ヶ所もいいところあるんだ。この左側の襞の奥のちょっと下。ここ、気持ちいいでしょ。分かる? 俺の指がほらっ、今そこで動いているのが」
 得意気な声音でアユリは、新しく見つけた蘭の秘められた場所を、くちゅくちゅとわざとに音を立てては攻めあげた。
 左側の奥の濡れ襞を押すように弄っては、何度もたっぷりと擦られる。
 「んっ……ああっ……んっ……」
 押さえがきかずに、びくりびくりと陸に打ち上げられた魚のように体が跳ね上がる。
「ああっ……蘭姉ちゃん、人魚みたい。凄く、綺麗だ……」
 冴えた青い光の下で、白い肌を跳ね刺す蘭を見て、アユリは陶然たる面持ちで、そう呟いた。
「……ここはまるで、海の底みたいだね。蘭姉ちゃんは人魚で、俺はそれに捕まった男。知ってる? 人魚って美しい容姿や声で男を海に引きずり込む、魔物でもあるんだよ」
 それは蘭も同じことを思っていた。
 月の青白い光で――この一面は海の中のようだと。
 赤い花が咲き乱れ、どこか幽玄を思わす神秘的な情景に心を狂わせる。
 冴えた月を背にするアユリは悩ましげで、少年とは思えないほど淫らで扇情的。
「蘭姉ちゃんっ……俺もう、溺れそうだよっ……」
  蘭も痺れた脳で、アユリと同じことを考えた。
――酔いしれて、月下の海で溺れてしまいそう
 昂ぶる興奮に押さえがきかなくなったのか、アユリは蘭の中から指をずるりと引き抜いた。
 そして、蘭が見上げる中で、アユリは月の光で濡れた指を長い舌でゆっくりと味わうように舐めとり、口の中に含んでは喉に送り込んで飲む。
 蘭の粘ついた蜜が、アユリの喉をごくりと鳴らして、飲み込まれていく様はとても婀娜(あだ)やかで悩ましい。
 激しい性的欲求の中でも、アユリはどこかもの悲しく切なげに綺麗な顔を歪ませた。
「ごめんね、蘭姉ちゃん。記憶を失くして苦しんでいることは知っているのに、俺がこんなことをして……傷ついた蘭姉ちゃんをもっと傷つける結果になるのに……でもっ……もう、無理だ……狂いそうだよ……はあっ……」
 アユリが悲しそうにしていたのは蘭のことを思っている為。
 体を弛緩させてまで情事に及び、自分の欲求をぶつけようとしている。
そこに至るまでは、蘭も知らぬ激しい葛藤があったのだろう。
 それを我慢する為に、蘭を無視し続けて、真樹子にあのような行為をさせた。
 それでもアユリの欲求は留まることなく、それ以上の激しい欲求に駆られて、止まらなくなってしまった。
 満月の日に絶頂をむかえる、気が狂いそうになるほどの性的衝動に駆られ、アユリはとうとう決行に移してしまう。
 それなのにまだ後悔が渦巻き、苦しんで心の中では泣いていた。
 そんなアユリを責められるわけがない。
 小さな背中にはどれほどの悲しみが背負われているのだろう。
 泣き出しそうなアユリを見て、泣かないで――そう言いたい。
 手を伸ばそうとしても、弛緩した腕では重くて持ちあがらない。
 アユリは悲しそうに瞳を揺らめかせて、それと同時に狂いそうになるほどの獣じみた狂気を滲ませた。
「ああっ……蘭姉ちゃん、ごめんねっ。もう我慢できないっ。こんな俺を許して……嫌いにならないで……」
 アユリは懺悔するように許しを乞うては、押さえのきかない情欲を滾らせて、雄々しくなった肉径をずるりと引きずりだした。
 すでに興奮しきった若い雄は、固さを誇示しているかのように反り返って、一分の隙もないほど腹にぴたりと張りついていた。
 ごめんね――と、涙を滲ませたアユリの瞳の奥には底知れない狂気が孕まれている。
 ああ、表面では謝っていても、アユリは猛り狂ったように容赦なくアレで貪ってくる。
 その剥き出しの飢えた雄の情欲を感じ取って、蘭は背筋を震わせた。
 恐れとは相反したように蘭の花びらは、ひくりとわななき熱い塊を待ち詫びていた。
「ごめんねっ……蘭姉ちゃん……ごめんねっ……ああっ……くっ……ぁっ……」
 アユリは謝りながら、自分の熱く滾った肉径を蘭の蜜口にあてがい、ぐっ――と押し込む。
 入口で濃い蜜がアユリの張り出した傘と合わさり、ぬちゃりと淫靡な音を奏でた。 
 「ああぅ……入っちゃったよ……蘭姉ちゃんの中に……はあっ……凄い……想像した通りに熱くて……きつ……くぅっ……」
 アユリは溶けそうな声を漏らして、肉径をぐぐっと濡れた襞を押し広げて奥へ挿し貫いていく。
「ああっ……んっ……アユリ……」
 容赦なく肉径を奥へ押し込まれて、蘭は荒い息を吐き出した。
 興奮して雄々しく膨れ上がった肉塊は、想像以上に太くて蘭の中をみっちりと圧迫している。
「ごめん、苦しい? でも許してっ……気持ち良くて、腰が動いちゃう……はあっ……」
 悩ましげに謝ってきて、それとは反対にアユリは激しいまでの熱い感情を全身でぶつけてきた。
 すぐに動かされたアユリの腰は止まることを知らずに、抽送を何度も繰り返す。
「ごめんね……蘭姉ちゃんっ……今日は、犯して、犯して、犯しまくるから……はあっ……気が狂うほど、めちゃくちゃにするからっ……ああっ……くぅっ……」
 入り口まで肉径で濡れ襞を引き伸ばされたかと思うと、すぐに奥まで深くねじこまれる。
 少年とは思えないほどの、長く深いストロークは、猛々しく激しい。
「あっ……はっ……はげし……っ……」
 蘭の中を全て貪るように、肉径は濡れ襞を引き伸ばし、すぐさまねじ込むように押しこんできて、膣奥に遠慮なく到達する。
 その律動は早くて蘭はゆっくりと息も出来ずに、ただ激しく体を上下に揺さぶられていた。
「蘭姉ちゃん、ごめんねっ……もっとじっくり味わいたいけど、気持ち良すぎて、勝手に腰が動いちゃう……はあっ……ああっ……すご……濃い蜜が絡みついてきて……襞がぎゅうぎゅうして……俺のを……根元から絞る……くうっ……」  
 溢れだす蜜はアユリとの接合部分と交わり、くちゅくちゅと淫猥な音をこの静寂な夜に響かせる。
 その音とアユリの喘ぐ悩ましい声を聞いているだけで、脳は蕩けそうになった。
 「ああっ……蘭姉ちゃん、狂いそうっ……はあっ……良すぎて……狂っちゃう……はあっ……も……だめ……」
 全身に汗を噴き出させて、珠のような雫がアユリの白い肌を伝っては弾いていく。
 体の全てを使い、腰を揺さぶる姿はなまめかしく淫らで、同時になによりも綺麗で酔いしれてしまう。
「アユリっ……あっ……ンっ……」
 肩にかかる髪は汗でしっとりとして、滑らかな首筋にはりついた様子も色気があり、思わずそれに陶酔してしまった。
「蘭姉ちゃん、ごめんっ……も……イク……も……出る……ああっ……はあっ……凄い……あああぅ……」
 嬌声をあげるアユリの声は掠れて、それすらも愛しく淫靡に感じて、この罪深い艶事(つやごと)に溺れる。
 ぎゅうぎゅうと肉径を締めつけて、若い精を絞りだそうと奥がきゅうっと締った。
「蘭姉ちゃんっ……だめ……締めつけないで……イッちゃう……イッちゃう……いっぱい……出しちゃう……」
 アユリの腰の動きは一層早まり、熱く滾る肉塊は激しく蘭の中で暴れ狂う。
 それは舞を忘れた踊り子が、不協和音の中で、乱雑なリズムで抽送を繰り返し、膣奥を打ちつけては、狂い乱れているようだった。
「蘭姉ちゃんっ……出しちゃう……たくさん……出しちゃう……奥に……いっぱい……出しちゃう……あああっ……受け止めて…イクから受け止めて……たくさん出すから、俺を受け止めてっ……はあっ……ああっ……くうっ……で……るっ……はああっ」
 アユリが肉棒がズンッと蘭の最奥に打ちつけた瞬間に、びゅくりと熱く若い精が吐き出される。
「ああっ……うくっ……ンッ……はあっ……」
 アユリは悩ましげに髪を振り乱し、最後の一滴まで蘭の中で絞り出す。
 腰を深く蘭の秘部に打ちつけたまま、長い放出に恍惚と瞳を潤ませ、小さな体をびくびくと痙攣させていた。 
「蘭姉ちゃん……大好きだ……」
 全ての欲を吐き出した後に、アユリはそう小さく漏らして、繋がった状態のまま蘭の体に覆い被さる。       
 汗ばんでしっとりとした肌がひんやりとして、蘭の熱く火照った体にはちょうど心地良く感じた。
 蘭はぼんやりと月を見上げて、のしかかったアユリの体重を感じながら、静かに瞼を閉じた。









罪深き月夜に濡れる《前半》  end






 





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