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エゴイストな夜 side4ー7 【綾子と速水の大人な恋!?編】




***

 次の日、私は学校に行くと物凄く痛い視線をあちこちから感じる。
 まさか、速水とホテルに行ったのがばれた?
 廊下を歩くたびに、生徒が振り向いて見てくる。
 私、なんか変?
 髪を撫でつけて見るが跳ねているところはないし、脚を見てもストッキングは破れていない。
 不審に思いながらも職員室へ入ると、女性教諭がものすごい勢いで寄ってきて私はあっという間に囲まれた。
 なに、なに、なに?
 びくびくしながら女性教諭達の鬼気迫る勢いにたじろいでいると、一人が口を開いた。
「速水先生と婚約したって本当なの?」
「はっ?」
 何を言っているかが分からず、私は間抜けな声を出してしまう。
 他の女性教諭もじりじりと迫ってきて、私を壁に追い詰めた。
――な、なんのこと!?
「嘘なんでしょ、ねぇそう言ってよ」
 泣きそうになっている女性教諭もいて、もう何が何だか分からない。
 そんな折りに渦中の人がやって来て――
「ねぇ、ちょっと速水先生……どういうこと?」
 私は思わず速水に声をかけてしまう。
 速水はいつもと変わらぬ平然とした様子で、こちらに寄ってくるとじっと見下ろしてきた。
――もしかして、新手の嫌がらせ?
 速水の冷たい視線は変わらず、これは何かの間違いだと考えてしまった。
「ああ、綾子……婚約のことを皆さんにも言っておいた」
――綾子???
 その瞬間、眼前が暗くなってしまったのは気のせいだろうか。
 一人理解が出来ずに固まっていると、女性教諭は私から離れて今度は速水を追って行った。
 嘘ですよね、速水先生〜と泣き叫びながら。
 その噂はあっという間に駆け巡り、生徒達も知ることになる。
 だから廊下を歩いていると生徒達から視線を受けていたのだ。
 それから私は授業など出来る状態ではなく、自習にしてしまいぼんやりと考える。
「もしかして……速水って……くそ真面目?」  
 遊びで抱いておきながら、悪いと思ってしまい婚約という形を取った。
「馬鹿……そっちの方がよっぽど辛いわよ……」 
 気持ちもないくせに上辺だけで罪を償ったつもりだろうか。
 そんなのこっちから婚約解消してやる。
 そう思ったのだが――
「綾子、今日も一緒に見舞いに行くか?」
 優しく速水が聞いてくると、私は情けなくも可愛らしく頷いてしまうのであった。
 なに、やってんだろ――私。
 そう思いながら、速水と一緒に花屋に行き、桜ちゃんの為にの花を買って病院へ行く。
 そして花瓶に花を生けて、桜ちゃんと速水が喋っている――速水の一方的な会話だが、それを聞いている。
 そういう毎日が繰り返され、いつの間にか私はそれに慣れてきていた。
 ――なんで、私と婚約したの?
 本当はそれが聞きたくて仕方がなかったが、私は怖くて聞けなかった。
 どうせ、あの夜に抱いてしまった罪滅ぼし――そう言われるに違いないから。
 それとも速水の秘密を知ってしまい、弱みを見せられる相手だと思ったからだろうか。
 理由も分からず、私は鬱々と過ごす日々を送ったのだった。








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