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エゴイストな僕 side1ー1
その日僕は死のうと思った――それはこの世に生まれおちた、たった十一歳の時。
春爛漫の陽気で世間は花見で賑わっているというのに、僕だけは暗く澱んだ世界にいる気がした。
さて、どうやって死のうかと考える。
飛び降り自殺か、手首を切るか、それとも首吊り?
なぜ、死のうとしているかって。
答えは単純。
いじめを受けているからで、もう生きていても意味がないと思ったから。
父子家庭の僕は、一生懸命働いている父にいじめをされているなど相談出来るはずもなかった。
それは自分がいじめられていると言う現実が恥ずかしいということもある。
担任にちくっても、後から仕返しされるのが目に見えているから、言えるはずもない。
歯向かう度胸もなく、僕は毎日いじめっ子たちに嫌がらせをされていた。
靴を捨てられたり、教科書に『ばか』『死ね』『きもい』など書きなぐられて、体操服は雑巾にされたり。
ちょっとでも歯向かう視線を向けると、腹を殴られたり、蹴られたりする。
それはリンチと呼ばれるものであり、顔はばれるから見えない場所に受けるのだ。
子供と思って馬鹿には出来ないほど奴らは悪知恵に長けている。
いじめられる理由など簡単だ。
うじうじ暗くて苛つく、目立ちすぎて調子に乗っている、掃除さぼったのを先生にちくった。
そう、何でもいいのだ。
僕の場合は片親というので馬鹿にされている。
母が浮気をして外に男を作ったというのは小さな街ではすぐに噂になった。
ふしだら、可哀想、お気の毒、そう同情という嘲りの言葉を躊躇いなく吐き捨てているのは大人の方だというのに。
その言葉を聞いて、子供は同じように真似をする。
『お前の母ちゃん、不倫』『お前は捨てられた』不倫の意味など良くも知らないのにいじめっ子達はそうやって言葉の暴力を奮ってくるのだ。
気に入らなければすぐに放課後呼ばれて、リンチが待ち受けている。
痛いし、泣いても許してくれない。
だから早く終わって欲しいとだけをいつも願っていた。
学校を休みたかったけど、何日も休んでは父に不審がられるし、いじめっ子達は休んだ間分の鬱憤を僕に発散させてくる。
葬式ごっこといって、僕の机に花が飾られてあったのは二日休んだ次の日のこと。
そんなに僕がいらないのなら、死んで報復してやろうと考えた。
遺書を残してあいつらの名前を書きなぐり、世間に知られればいい。
僕はもう疲れて、これからの未来も思い描けるはずもなく、死ぬことを選んだ。
そして選んだのは、首吊りだ。
住宅街の裏手には山があり、この時期は週末になると花見が開かれる。
いじめっ子達の家族も来ると思えば、少しだけ楽しくなってきた。
僕が首吊る下で、遺書を発見しおののけばいいと、そう思った。
これが僕の考えた最大限の復讐。

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