先輩、僕の奴隷になってよ《番外編03》とある愛斗の劣情

番外編03《4》



 愛斗はほくそ笑んで自分のいきり勃った肉棒を下着から引きずり出した。
 ぐったりしている春香を抱き起こし、後ろからすぐに肉棒を柔らかい襞に突き立てた。
「あっ……ンっ……愛斗君っ……」
 ぼんやりとしている春香を揺さぶり、猛った肉の塊で突き上げた。
 抽送を繰り返し、太いくびれで襞を引っ掛け、押し広げると全身に痺れが走っていく。
 接合部分からくちゅくちゅと卑猥な音が聞こえてきて、愛斗はぞくぞくと肢体が震えはじめた。
「春香……見て……声が大きいから見られているよ……」
 愛斗はわざと春香に教えて、ベランダの下で自ら肉棒を取り出し自慰に耽っている俊介を見下ろす。
「ほら……あれって春香のいやらしい蜜がついているショーツじゃない?」
「えっ……やだっ……そんなっ……」
 俊介が春香のショーツで肉棒を扱くのを見て、ぎゅうっと中が締まった。
「春香って……やっぱり見られるのが好き? 中がぎゅうぎゅうと締め上げてくるよ……くっ……」
愛斗のモノを絞りあげる快楽に背筋は震え、ゆっくり動くことに我慢が出来なくなった。
「春香って……本当に淫乱……手すりに拘束されて……他の奴にオナニーされながら、僕にやられているんだもん……」
「やっ……そんなことないっ……」
 そう言いつつ、春香の中はどんどんと締まり、蜜も奥から溢れ出してくる。
 やはり、見られて興奮しているのだと思い、愛斗はもっと意地悪く虐めてやろうと考える。
 可愛くて清らかな春香を――ただの女にし、淫らに変えるのは至福以外何でもない。
「春香はマゾなんだよ……こんなことされて喜んでいるんだもん……ね。奴隷気質が元からあったんだよ……嬉しい? 開発されて」
「そんなことっ……ないっ……違う……」
 春香は認めようとしない為に、愛斗はずるりと肉棒を引き抜き蜜を後孔に塗りつけた。
「ま、愛斗君っ……そこは……」
 春香がこわばり、逃げようとするが腰を抑えて臀部を割り広げた。
「もっと……開発したい……春香のこと……ここも……僕のモノだし……いいよね?
 愛斗は春香の後孔も犯したくなり、ずっ――と切っ先を埋め込んだ。
「ひっ……愛斗君っ……」
「ほら、力を抜いて……」
 ゆっくりと腰を沈めていけば、亀頭が入り込み、太いくびれが引っかかった。
「すごっ……これっ……きつい……」
 亀頭を挿入すると、中の肉が押し返してくる感触に腿が震えた。
「愛斗君っ……無理っ……」
 春香が泣きそうな声を出すが、それが余計に情欲をそそってくる。
「大丈夫……力を抜いて……ね」
 愛斗が手を伸ばして、春香の淫芽を指先で細かに震わせた。
「はっ……ぁっ……」
 気持ちいいのか春香はのけぞり、その瞬間――にゅるっと後孔に埋められた肉棒が奥に飲み込まれた。
「ぁっ……くっ……春香っ……根元まで入ったよ……」
 膣道とはまた違った肉が肉棒にまとわりつき、堪らなくなると愛斗は抽送をはじめた。
 前も後ろも支配して、領域を侵している喜びは想像もつかないほどの幸福感で満たされる。
「こっちも気持ちよくしてあげるから……」
 愛斗は指を蜜壷に埋めて、春香の気持ち良い部分をねっとりとした動きで擦りあげた。
 余った指で肥大した淫芽を扱き、後孔を何度も繰り返し侵していく。
「ぁっ……やだっ……前も……後ろもっ……愛斗君に犯されてるっ……」
「可愛い春香……アナル気持ちいい?」
 意地悪く囁くと春香の体がかぁっと火照るが、愛斗の欲しい言葉を言ってくれない。   
「ね……言ってよ……前も後ろも愛斗に犯されて……気持ちいいって……」
 濡れた膣肉を指でなぶり、包皮を捲りあげて淫芽を擦り、後ろも律動をはやめる。
 そうすると春香は我も忘れたように、甘い喘ぎをあげて腰を揺さぶった。
「き、気持ちいいっ……愛斗君にされて……こんなの……おかしくなるっ……すぐにイっちゃいそう……ぁっ……はっ……」
 愛斗もいつの間にか俊介の存在を忘れて、はじめてもらう春香の後孔を堪能した。
「やばい……春香……僕もイっちゃいそう……気持ち良すぎ……」
 くちゅくちゅと指で肉襞を責めあげ、後孔に肉棒を抜き差しさせ、ベランダで情事に耽っている背徳感が射精衝動を早めた。
「だめっ……愛斗君っ……イクっ……イクっ……も……イクっ……」
 春香が身体を折り曲げると、先に早い絶頂を迎えたようだった。
 指を飲み込んだまま痙攣し、その振動が後孔に穿った肉棒まで伝わってくる。
「春香っ……僕も……出すよ……春香のアナルにぶちまけるからっ……っ」
 後孔がひくひくとわななき、肉棒をぎゅうっと締め上げた瞬間――
「あっ……春香っ……出るっ……たくさんっ……出るっ……うっ……くっ……」
  激しい射精衝動が起きて、愛斗は後孔に深く腰を沈めたまま中に熱い精を放った。
 快感に支配され、全身にびりびりと心地よい痺れが走っていく。
 その甘い感覚に陶酔し、愛斗は一滴残さず射精して、幸せの余韻に浸っていた。
「春香……君の全ては……僕のモノ……」
 後孔を奪った悦楽がこみあげ、愛斗はぎゅっと後ろから春香を痛いほど抱き締める。 
 手錠で繋がれた手首が引っ張られ、春香は半身をねじり愛斗を見つめた。
「春香っ……とても……良かったよ……」
 キスを交わしながら、愛斗はうっすらと瞳をあけてベランダの下を見やる。
 俊介も若い精を放出したようで、ぶるぶると身体を痙攣させて余韻に浸っていた。
 それを見て、愛斗はふっと勝ち誇った微笑みを浮かべる。
 俊介の好きな春香が、愛斗に奴隷のように扱われ精を放出されているなど想像もしていなかっただろう。
 言いなりになる春香を見て、悔しい思いをしたのか、それとも羨ましいと思ったか。
 そのどちらでもかまわない。
 愛斗は春香を腕に掻き抱き、愛しい気持ちでキスを落とす。
 俊介のことを忘れ、愛斗はほの暗い喜びを得て春香の唇を貪った。

***

 そこから俊介の姿を春香の家の前で見ることはなく、愛斗はほくそ笑んでいたが、落ち込むようなタマではなかったと後日知ることになる。
 春香の外出デートの仕切り直しで、ゆっくり鑑賞できなかった美術館へと足を運んだ。
 週末だから混んでいるのだろうと思っていたが、どうやら若い女子が詰めかけて色めきたっているのを知る。
「シュンスケ・ユミハラが来ているんだって」
 その名前を聞いて、愛斗は思い切り顔をしかめてしまう。
 シュンスケ・ユミハラという、いっぱしの画家気取りな呼ばれ方をされているのも腹ただしかった。
 だが実際、世界的に有名なコンクールで金賞を取った俊介は、世界の人にそう呼ばれているらしい。
 彗星の如く現れた期待の新人は、世界中の注目を浴びている若き画家である。
 また、あいつが来ているのか――。
 愛斗はやれやれと溜息を吐き出して、俊介がいる方には足を向けなかった。
「新作の絵もちょいエロいけど、何だか魅力的で目が奪われちゃうよね」
「一体誰が、モデルしているんだろう?」
「噂では、俊介の恋人だって」
「うそ〜、俊介……恋人がいるんだ。ショック〜」
 女性達が噂話をしながら去っていくのを聞いて、愛斗は嫌な予感が胸に広がる。
 新作を出したとは聞いていない――とはいっても友達でも何でもないから俊介から聞くことはないが、全くもって知らなかった。いや、興味がなかった。
 だが、女性達の話を聞いて愛斗はその絵を見て、あることを確かめたくなる。
 春香を引っ張り、またもや報道陣に囲まれている俊介を見つけ――
「あいつ――」
 飾られている絵を見て愛斗はひくりと頬をひきつらせた。
 宵闇の中でしなやかに腰をくねらせ踊っている女性――それはまさしく扇情的な表情をした春香自身で。
 愛斗はやられた――と内心では舌を打った。
 俊介を失意に落とすよりも、想像力を掻き立て、奴のインスピレーションの手助けをしてしまったのだ。
「うわあ、今度のシュンスケ・ユミハラの作品もすっごい綺麗だねぇ。色彩も繊細で鮮やかだし……この女性すっごく色気あって綺麗で羨ましい」
 春香はやっぱり、この絵のモデルが自分であることには気がついていないようだ。
 それもそうだろう。情事に耽る春香は普段からは想像も出来ないほど妖艶で、扇情的なのだから。     
 今度は春香の顔を鏡で見せながら、お仕置きしてやろうかなどと考える。
 だけどそれで春香が自分がモデルだったことを知り、俊介に興味を覚えても嫌だ。
 モデルは春香ではないと、気づかせない方が賢明かもしれない。 
 くそっと愛斗は心の中だけで悪態をつき、清廉な笑顔を浮かべる俊介を見つめた。
 するとくるりとこちらに振り返り、意味ありげに微笑んでくる。
 その挑発的な態度が苛々とし、愛斗はぎりっと奥歯を噛み締めた。
「……まだ、教えてくれないんですか、この女性のこと?」
 マイクを突きつけられ、俊介は困った風に笑みを浮かべる。
「ははは、そうですね。どこの誰かは言えませんが……僕の愛しい女性です」
 俊介がしれっと言うと、どよめきが起きてざわざわと騒がしくなった。
「熱愛発言ですか? これはスクープになりますよ」
 他の記者達も身を乗り出すが、俊介は愛想笑いを浮かべるだけでそれ以上は何も教えない。
 とんだ狸だと、愛斗はこつこつと革靴をいつの間にか鳴らしていた。
 そうやって小出しに春香のことを言って、最後には僕の最愛の恋人ですって名前を出すつもりだろうか。
 告白されるたびに、春香の名前を出していた俊介には十分有りうることである。
「春香……帰ろう……お仕置きだから」
「え? え? なんで? 外出デートは?」
 春香が驚くが、愛斗はどうしても自分を今すぐ刻みつけたい衝動に駆られる。
「外出デートは今度」
 こうやって、愛斗は春香にお仕置きといいつつこの手に抱き、自分を覚え込ませる。
 愛斗の匂いも、キスも、指の動きも、自身の形も、全てを刻みつけて自分だけのモノにしたい。
 それにはまだまだ足りないと考え、がしゃんと手首に手錠をかけてしまった。
「え、えぇ! 愛斗君?」
 春香が驚いても愛斗は気にすることなく、自分の手首にもかけてぐいっと引っ張る。
「春香……キスして」
 愛斗は自然にそれを口に出していた。
 美術館の――それも俊介がいる前でのキスの命令。
 春香は何度も目を瞬かせていたが、そっとつま先を立てて愛斗の唇にキスをしてくれる。
 目の端で俊介の顔が曇るのも見て、もっとして欲しくなった。
 それは最高の優越感をもたらせてくれて――。
「もう、愛斗君ったら」
 春香は困った風に眉をしかめるが、優しいのでもう一度愛斗にキスをしてくれる。
「嬉しい……春香……僕の……最愛の人……」
 本当は奴隷にされているのは、愛斗自身ではないかと思い、キスに陶酔していく。
 繋がった手錠が嬉しくて、愛斗は春香の華奢な身体を抱き締めた。
 春香の温かみに触れて、至福に満たされていく。
――春香は、永遠に僕のモノ
 愛斗はそれだけを思いながら、歪んだ愛を容赦なく春香にぶつけて、倒錯的な世界に身を沈め――うっすらと微笑んだ。   
 それはとても甘い――甘い甘美な毒を放つ檻の中で、囚われた春香は知る由もなく――全てを愛斗に捧げていくのだった。



 
番外編 完



            
  

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