先輩、僕の奴隷になってよ《番外編01-2》とある雪哉の淫夢

番外編01《2》



***

 雪哉によって運ばれたのであろう。
 春香は暗がりの中、自分の部屋でじわりと浮き出た汗が気持ち悪くなり目が覚めた。
 ベッドの横には雪哉がごろりと転がってすやすやと気持ち良さそうに寝ている。
 まだ頭はふらつくが少しだけ酒は抜けたようだった。
 春香は大城のことを思い出し、触られた箇所を洗い流したくなると、風呂場へと行った。
 ぼんやりとした頭で浴槽に残るお湯の温度を確認する。
 どうやら秋子が温めてくれていたようで、春香はありがたく浴槽に浸かることにした。
 ちょうどいい温度で、春香の冷えた体をじんわりと温めてくれる。
 しばらく目を閉じて浸かっていたら、脱衣所に影が現れがらっとドアが開けられた。
「へっ……雪哉……?」
 入ってきたのは雪哉で、しかも全裸になっていたのだ。
 呆気に取られて見てしまうが、雪哉の男らしい体つきに目を奪われてしまう。
 筋トレマニアとは嘘ではないらしく、鍛え上げられた腹筋は見事に割れていて、引き締まっていた。
 そして――
「春香、俺のあそこが気になるか?」
 視線が腹筋から雪哉の下肢に移ってしまい、春香は顔を赤らめて俯いた。
「俺も一緒に入ろうっと」
 雪哉が悪びれもなくそう言うと、堂々と浴槽に入ってくる。
「何考えてるのよ、狭いし……それに……」
「だって、よく一緒に入っただろ?」
「それは、小さい頃であって……今は違うでしょう」
 狭い浴槽に雪哉は対面で座ると、惜しげもなく綺麗な肉体を見せびらかしてくる。
「目のやり場に困るんだけど……」
 嫌でも目の前にいれば、雪哉の体が視界に入ってしまいちらちらと見てしまった。
「なんで? 兄妹だろ? 俺は自分の成長を見て欲しいけどな」
 雪哉の体を見てどきどきとしてしまい、勝手に女の器官が反応してしまう。
 それほど――兄は美しく、野性的な雄の匂いを漂わせていた。
 濡れた毛先がぴたりと首筋に張りつく様も色気があって、ぞくぞくと情欲が掻き立てられる。
 このままではいけないと思い、浴槽から出て体を隠すようにシャワーを出した。
 その間も雪哉がじっと獲物を狙う目つきで見てくるので、視線を合わすことが出来ない。
 シャワーを浴び出すと雪哉が浴槽から立ちあがる。
 風呂を出てくれるのだと安心したのも束の間、椅子に座っている春香を立ち上がらせる。
「な、なにするの」
 雪哉は春香の椅子を横取りして、自分がしれっとそこに腰を下ろした。
「もう、座りたいなら言えばいいのに。子供みたい」
 呆れている春香の腕はぐんっと引っ張られて、力任せに雪哉の腿の上に座らされた。
 臀部に雪哉の盛り上がる腿の筋肉を感じ、春香は緊張で体を固まらせる。
「俺が洗ってやるよ、春香。大城に触られたところ全部、綺麗にしてやる」
「そ……そんなのいいよ……」
 春香が気にしていることを汲み取ってくれているようで、雪哉が洗い流してくれるというのだ。
 過保護すぎると思ったが、春香が断るとしゅんと肩を落としたのが、備え付けの鏡を通して見えた。
「もう……お兄ちゃんはいらないんだな……俺は八歳の頃、家を救う為に養子に出て……憎まれ口を聞いて縁まで切ろうとして……そして可愛い妹にも邪険にされて……」
 雪哉がぼそぼそと喋り、どよ〜んと風呂場が暗くなる。
 確かにそう言われて見れば雪哉は人身御供を自ら買って出てくれて、たった八歳で家を守ってくれた。
 それまでも春香を守ってくれたし、今でも変わらず傍にいてくれる。
 雪哉がどれだけ色んな苦労を背負ってきたか知らずに春香は今まで能天気にそれは天真爛漫と生きてきた。
 それを思うと兄、雪哉が不憫に思えてお兄ちゃん孝行も悪くはないと考える。
「お兄ちゃん。分かったよ、好きなようにしてくれていいよ。これまで色々苦労をかけてごめんね」
 春香がそう言うと雪哉は水を得た魚のようにぱぁ〜と顔を輝かせて復活する。
「じゃあ、じゃあ、お兄ちゃんって呼んでくれよ。みんなの前じゃなくてもいいから、んで、思い切り甘えて」
「わ、分かった……お兄ちゃん……大城先輩が触ったところを綺麗に流して?」
「ああ、春香ぁ。可愛い妹〜。あの大城、絶対に許さねぇから」
 雪哉はふにゃふにゃに笑いながら、春香の体を洗い始める。
「あの、お兄ちゃん……手で洗うの?」
「当たり前だ、手で洗わないと春香の綺麗な肌が傷つくだろ」
 ボディソープを泡立て、雪哉は春香の首筋や鎖骨と丁寧に洗っていく。
 雪哉の手が大きくて、優しいタッチで洗ってくれるので春香は気持ちよくなっていった。
 すると雪哉の両手がするっと胸に落ち、春香の白い乳房を柔らかく揉みしだいた。
「お、お兄ちゃん……そこは……」
 抵抗しようと身をよじるが、ぎゅっと胸の頂きを摘まれて腰がくねってしまう。
「……ンっ……」
 雪哉の指の間に挟まれたままこりこりと捏ねられ、それが鏡に映っていて淫猥な気持ちになっていく。
「春香……綺麗にしてやるからな」
 雪哉の艶を帯びた息が耳にかかり、ぞくぞくと背筋が震えた。
「ああ、春香の胸……綺麗だな」
 泡が取れて薄く色づいた蕾が鏡に映し出されて、恥ずかしくなる。
「もっと春香の成長を感じたい」
 雪哉が春香の半身を強引にねじらせ、蕾にちろりと舌が這わされた。
「あっ……駄目っ……お兄ちゃんっ……」
 びくりと肩が跳ねるが、雪哉の舌は突き出されてわざと春香に舐めているところを見せつける。
「うっ……あっ……」
 雪哉が舌だけで蕾を転がし、何度も執拗に扱くとじゅくりと秘部の奥から熱い滴りが溢れ出した。
「ンっ……美味しい……春香……」
 強弱をつけて舐められ始めると、蕾が痛いほど尖りじんじんと熱を帯びる。
 酔いしれていたところ、雪哉の手が腰を撫でて腿をやんわりと触り、秘裂に到達した。
「ここの成長も見せてくれよ、春香」
 雪哉が耳をくすぐるように囁き、春香を乗せている自身の腿をがばりと開いた。
 同時に春香の両脚も大きく広げられ、鏡に恥ずかしい秘所が映し出される。
「よぉく、お兄ちゃんに見せてごらん。な、春香」
 ちゅっと耳たぶを噛まれ、春香はぴくりと腰を震わせた。
 雪哉の手が伸びてきて、秘丘を優しく揉みしだき、するりと滑り落ちた。
「もしかして、興奮しているのか? お兄ちゃんに見られてここをぷっくり大きくさせて……悪い子だな」
 雪哉の指がそっと淫芽を撫でて、春香の反応を見るようにじっくりと動かされ始める。
「いやっ……駄目っ……そんなところ……」
「大城には触られたのに、お兄ちゃんは嫌?」
「ちが……そんなところ……触られてな――ぁっ……ンっ……」
「ほうら、鏡で見てごらん、春香。お兄ちゃんの指がクリをいやらしく弄っている……どうだ? 気持ちいいか?」   
 鏡で見ると雪哉の指が淫芽を往復させるたびに、まくれあがる包皮の動きも見えて、淫猥な気持ちが身体を満たしていく。
「やっ……お兄ちゃんの指が……ぁっ……ンっ……」
「うん……じっくりとしてあげる……から……ほら、包皮を剥くと……可愛いクリが見える……」
大きくなった淫芽をきゅっと摘まれたかと思えば、すぐに押し潰されて揉み回された。
「……っ……ぁっ……」
 そのまま指は優しく、ときには強く淫芽を擦り、揉み回し、執拗に嬲られて、広げた腿が快感でがくがくと震え始める。   
 雪哉は激しく荒々しいと思っていたが、実際はねっとりとした愛撫で春香はその技巧に溺れそうになった。
 繊細そうな愛斗の方が激しく荒々しいのに、雄の匂いがたっぷりとする雪哉の方が、繊細で優しい愛撫。
「……ぁっ……お兄ちゃんっ……」
 時間をかけていやらしく粘つくような愛撫を受けたことがないために、感度は増していった。
「そうだよ……春香……気持ちよくなっていいんだ……俺はそれが嬉しいから」
 低いボイスで囁かれ、春香はぞくぞくと背筋に快感が這い上り、うろんとした目つきになってくる。
「ここも……気持ちよくしてあげるから……な?」
 淫芽を擦っていた手がその下に伸びて、溢れる蜜を指ですくいあげる。
「困った子だな……お兄ちゃんにクリを弄られて……こんなにぐしょぐしょにして……」
 雪哉は困ったと言いながら嬉しそうに微笑み、二本の指を蜜壷に突き立ててきた。
「ほら、春香……お兄ちゃんの指が二本も入った……鏡で動きを見てごらん」
 言われるまま鏡に視線を移すと、雪哉の指が押し回しながら浅いところで柔襞を嬲る。
「ぁっ……はっ……お兄ちゃんっ……」
「春香……お兄ちゃんって呼ばれたら……可愛くて……もっと気持ちよくしてやりたくなる」
 雪哉の指が浅いところを行き来していたが、奥にも到達しぐるりと肉襞をなぞりあがる。
 浅いところと深いところを交互に抜き差しされる動きに、頭がじんじんと痺れ始めた。
「お兄ちゃんっ……」
 そのねっとりとした動きに内部はひくひくとわななき、雪哉の指を飲み込んだまま絡みつく。
「春香……ああっ……凄い……襞が指にぴっとりと絡みつく……なぁ、ここも好きだろう?」
 雪哉の指が奥に埋められ、くっと鋭角に曲げられた瞬間、びりっと背中に電気が走り抜けた。
「ここ……ざらざらしていて……春香の気持ちいいところ……」
 雪哉の指がざらつく部分を執拗に擦り出すと、春香は尿意が催してくるのだ。
「駄目っ……そこはっ……お兄ちゃんっ……」
「知ってるよ……図書室でおイタしたもんな春香は……でも、ここなら大丈夫。風呂場だし……すぐに洗い流せるから……たくさん出していいんだぞ? お兄ちゃん、しっかり春香のイクところ見ててやるから……」
「そんなのっ……見ないでっ……あっ……ンっ……」
 雪哉の抽送が早くなり、泣き叫びそうになるほど気持ちいいところを責められた。
 何度も執拗にざらつく部分を擦られ、いやいやと首を振ったが雪哉は容赦してくれない。
 鏡に映る雪哉の指の動きが卑猥で、余計に興奮が煽られて、いつの間にかぬちゅ、ぬちゅといやらしい音が風呂場に鳴り響いた。
「なぁ、限界? 中が痙攣してきて……指が食いちぎられそう……」
「んっ……もう……駄目っ……お兄ちゃん……出ちゃうっ……」
 ぞくぞく背中が震え、迫り上がる尿意に我慢できなくなる。
「いいぞ……お兄ちゃんの指で……気持ちよくなって……たくさん出せ……」
 雪哉の指の抽送が早くなり、ざらつく部分を激しく擦りあげてきた。
「……ぁ……もうっ……出ちゃう……お兄ちゃんっ……出ちゃうっ……」
「いいぞ……春香……たくさん……出して……イケよ……」
 雪哉の指がぐっとざらついた襞を押しあげた瞬間、体が弛緩して蜜ではない透明な液が大量に噴出された。
 勢いよく飛び散り、鏡や雪哉の手を濡らしていく様をぼんやりと見つめる。
「春香……もう俺……我慢出来ない……なぁ……お兄ちゃんと一つになろう……?」
 ぐったりとする春香を抱き起こし、浴槽の縁に体を押し付けられ、腰を雪哉に突き出す形になった。
「ほら、こんなになっている……」
 少しだけ体をねじり、雪哉が手に持つ肉棒を見て意識が舞い戻った。
 雪哉の雄は昂ぶり、隆々と反り返って筋が張っている。
 血管も浮き出た肉棒はどくどくと脈動を繰り返し、破裂しそうなほどいきり勃っていた。
「ちょっと……俺の大きいかもしれないけど……ぐっしょり濡れているから……大丈夫だよな……」  
「お兄ちゃんっ……それはっ……」
 駄目――そう言いかけたが切っ先が花びらを割り広げ、ずぷりと蜜壷に埋まっていく。
「ぁ……っ……」
 大きく張り出した切っ先がゆっくりと埋められて、襞がひくひくと卑猥に蠢いてしまった。
「……俺、本当は一つで生まれたかった……一卵性双生児で……だけど、二つに分かれちゃっただろう……? それが嫌でさ……どうして二つになっちまったのかって……だから、一つになっていいだろう? 春香」
 雪哉が切なげに言葉を漏らすと、なぜか悲しくなってしまう。
春香も一つの卵で生まれてきたかったと思ってしまい、雪哉を受け入れた。
「――うん、一つになろうか……お兄ちゃん……」
 春香の了承を得られて雪哉は本当に嬉しそうに微笑むと、腰を沈めてじっくりと埋め込んでくる。
 そのゆっくりとした動きだけでも襞が擦られ、なぞられて、快感が増していった。
「――っ……春香……狭くて……気持ちいい……あっ……奥まで入ったぞ……嬉しい……一つになれたんだな……俺たち……」
 奥まで穿った雪哉はその状態で春香の中を堪能し、満足げに微笑みを漏らす。
「……春香……中を動かすなよ……お兄ちゃん……やばい……感動して、興奮もしてさ……すぐにイっちゃいそう……」
 故意に動かしている意識はないが、雪哉のモノを咥え込んだまま勝手に中は収斂し始める。
 それが効いているのか、雪哉は少しだけ苦痛そうな表情を浮かべ腰を揺さぶり始めた。
「春香……動くな……頑張ってイカせてから……俺もイクから……」
 そう言って雪哉がずるりと一気に入口まで肉棒を引きずり出した。
「ンっ……ぁっ……」
 襞が引き伸ばされ腰が後ろに持っていかれそうになり、春香は浴槽の縁を両手で掴む。
 雪哉が春香のくびれた腰を後ろからがちりと掴み、一気に熱く怒張した雄が膣奥に穿たれた。
「ぁっ……はっ……お兄ちゃんっ……大きい……」
 膣道を圧迫する質量がぎちぎちと音を立てて、何度もゆっくりと抜き差しをされる。
 その粘つく巧みな腰使いに春香は翻弄され、快美な感覚を拾ってしまい、甘い喘ぎを漏らした。
「春香……可愛い声……もっとお兄ちゃんに聞かせてくれ……な?」
雪哉が低い声で囁き、、角度を立てた熱い塊がぬちゃぬちゃと音を立てて、肉襞の粘膜を何度も擦っていく。
「あっ……お兄ちゃん……何かっ……変っ……凄く気持ちいい……」
濡れ襞を捲り、ゆっくりと時間をかける動きに、春香はつま先から快感が突き抜けてきた。
「これだけ……じっくりされたことないだろ? これ……すげぇ……気持ちいいだろ春香……ゆっくりしているから、形も動きもよぉく分かるだろ?」
 雪哉に言われて、神経が集中してしまうと中に埋められた肉棒の形がしっかりと分かり、同時にねっとりとした動きさえも意識してしまう。
「あっ……駄目っ……何か……イっちゃいそう……」
 何度も雪哉が入口まで熱く滾った切っ先をずるりと引きずり出し、押し回すように奥に突き立ててくる。
 そのいやらしい動きに脳が痺れはじめ、内部がひくひくと細かく痙攣し始めた。
「春香……イキそうか? ああっ……ひくつかせて……俺も気持ちよくなる……」
それでも雪哉はじっくりと責め、春香を高みに昇らせようとした。
 そこが経験多い雪哉の余裕でもあるのだろう。
 柔襞に入り込んでずっと深く長い抜き差しをされていると、快感が全身に広がっていった。
「ああっ……お兄ちゃんっ……」
 よじろうとする腰を逃がすまいと雪哉の手が捕まえ、腰を密着させたままぐるりと大きく押し回してきた。
 濡れ襞が掻き回され、子宮の入口も一緒に混ぜられるともう限界だった。
 それでも雪哉は太くなった切っ先部分で、内部をしつこくかき回す。
「……っ……もうっ……イクっ……お兄ちゃんっ……イっちゃう……」
 雪哉がもう一度、腰を大きく押し回した瞬間――がくがくと腿は震えて突き抜ける快感が全身を駆け巡っていく。
 細かく痙攣を繰り返し、雪哉のモノを中に飲み込んだまま絶頂に達した。
 心地よい浮遊感が身体を重くし、ぐったりとしていたところ雪哉がはぁと何とも言えぬ艶やかな溜息を吐き出す。
「春香……俺も……一つになったまま……イカせてくれ……中がまだ痙攣して……くっ……このままイクからな……」
 雪哉のねっとりとした動きが急に変わり、激しいほどの抽送が繰り返された。
「うっ……あっ……お兄ちゃんっ……」
 激しく身体を揺らして律動し、秘部は壊れてしまいそうなくらい突き上げられた。
 中で暴れる凶悪な肉の塊はぬちぬちと音を立てて、子宮口をごりごりと掻き回す。
「お兄ちゃんっ……嘘っ……また……くるっ……」
「いいぞ……何度でもイケよ春香……俺も……もう……イクから……くっ……」
 徐々に打ち込まれる間隔が短くなって、体がずりあがるほどに激しく揺さぶられ、快感で背中が大きくしなってしまう。
 中の肉棒の質量が増して、そこで脈打つ血の流れまで感じると、快感のさざ波が押し迫ってきた。
「……お兄ちゃんっ……ぁっ……もう……イクっ……イクっ……」
 耐え難い甘美な疼きが走り、雪哉の膨張した肉棒が信じられないほど深く膣奥に穿たれ、子宮口をごりっと突き上げた瞬間――
「あっ……イクっ……っ……ぁっ……」
 びくん、びくんと腰は跳ね上がり、眼前は真っ白に染め上がったまま奥がきゅうっと収縮した。
「ああっ……春香……そんなに締めつけて……俺もイクから……っ……くっ……」
 膣奥に穿たれたままびゅくりと熱い精が吐き出され、びくびくと雪哉は痙攣した。
「春香……最高に気持ちいい……やっと一つになれた……」
 ずるりと肉棒を引きずり出されると、こぽりと白濁した液がこぼれ落ちた。
 雪哉に体を持ち上げられ、立たされるときゅうっと抱き締められる。
「ああ、春香……」
 陶然と酔いしれた面持ちの雪哉が壮絶に色っぽくて、春香はとろんとした目で見入ってしまう。
 雪哉の顔が落ちてきて、ねっとりと唇を舐められた。
 そしてすぐに舌が口腔内に侵入し、中をいやらしくなぞりあげる。
「ンっ……春香っ……」
 キスに夢中になっていたら、ばしっと雪哉は頬を殴られた。
「春香……?」
 雪哉が驚いて目を開くと、春香の姿がぼやっと霞んで見えなくなっていく。
「は、春香?」
 手を伸ばすが春香の姿は消えて――雪哉は一度目を伏せてもう一度瞳を上げた。


***

「あれ……?」
 雪哉は暗がりで目を覚まし、頭に乗った白い手を確認する。
 その手の先の人物をベッドの上で確認し、雪哉は信じられないと視線を彷徨わせた。
(嘘だろ……夢?)
 新歓コンパで春香が大城に酒を飲まされ、犯されそうになったのを助けた後、家まで送り届けて一緒に寝てしまった。
 もちろん雪哉は床だが、今までのことがあまりに生々しくて本当に春香と結ばれていたと思っていた。
 下肢に視線を巡らせると、恥ずかしながら痛いほど勃っていた。
(まじかよ……なんちゅう、淫らな夢だ)
 それでも愛しい我が妹と結ばれた夢はあまりにも嬉しくて。
 すやすやと寝ている春香の額にかかる髪をそっと払い、そこにキスを落とした。
(いや……ここは唇だろ)  
 そう思い直して、雪哉はどきどきと胸を高鳴らせてちゅっと軽く唇にキスをする。
(やべぇ……柔らかい……)
 雪哉はもう一回だけと自分を納得させて、何度も春香の唇を優しくついばんだ。
(お兄ちゃん……癖になりそう)
 妹の寝込みを襲うとは我ながら情けないと思いつつ、どうしてもやめられそうになかった。
(だって可愛いんだもん……春香……愛してる……)
 もしかしてさっきの夢は正夢かもしれないと、胸をときめかせた。
 春香は優しいし……多分、どMだから強引に持っていけばさっきと同じ経験が出来る。
 そう、それはお兄ちゃんが可哀想という設定を作り上げ、刷り込ませる汚い手を使うのだが。 
 雪哉に同情し、優しい春香は一つになってくれるはずだ。
 そう、二つに分かれてしまった卵は、一つになりたいと引き合っている。
 そうでなければ、手配もしていないのにずっと同じクラスで、席も毎回近いなどと不思議な現象が起きるはずもない。
 やはり二人は一つになるべく、いつも惹かれ合っているのだ。
 そう思うと、愛斗には悪いが春香を手に入れる手段を虎視眈々と考え始める。
(あいつにばれたら……海外逃亡だな……いや、地球の裏側まで追っかけてきそうだが)
 愛斗の執着や独占欲の強さはよく知っている。
 雪哉も伊達に小さい頃から、愛斗の動向を見てきたわけではないから。
 高校に入学して、新入生代表の挨拶をする愛斗を見て胸がざわめいたのを覚えている。
(あいつ、こんなとこまできやがった。しかも志望校を蹴ってまで)
 愛斗はそれはそれは、雪哉に負けず劣らず恋焦がれる目で春香を見つめ続けていた。
 好きという感情に気がついていなかったようだが、雪哉にははっきりと恋をしていると分かっていた。  
(あいつは俺よりクレイジーだ。手錠をかけてまで春香をモノにしようとして)
 さすがに手錠をかけられたのを見て内心は焦っていたが、春香があまり嫌がる素振りをしていないのでそのままにしておいた。
 考えてみれば春香は愛斗のファンクラブに入っていたので、元々は好意を抱いていたことになる。
(なんで、俺を差し置いて……愛斗……)
 悔しい思いをしたが、可愛い春香が愛斗を欲しているならそれでいいとも思った。
 だけど、一線を超える……しかも濃厚なえっちを夢で見てしまい雪哉の雄は抑えが効かなくなりそうだった。
 理性が崩れていくのを感じとって、可愛い春香をこの手にしたくなってきた。
 だがその前に、酒を飲まして春香を強引にモノにしようとした大城の顔が思い浮かぶ。
 自慢の顔をぼこぼこにして、金をかけて作っていた綺麗な差し歯も抜いてやったが、それだけは腹の虫が治まらない。
(あいつはレイプ未遂として……大学追放だな)
 雪哉は養父の家に養子に入って始めて良かったと思ってしまった。
 不動産王の養父は、色んなところに顔が効くし、政界まで知り合いが多い。
 大城の家も金持ちと聞いたが、雪哉の家に比べればちっぽけなものだ。
 こういう考えを平然とする雪哉を養父は気に入ったのだろうが。
 それならばその力をフルに利用し、くだらない虫を排除しようと考えた。
(もし、春香が愛斗を嫌いになれば……遠慮なくお兄ちゃんが排除してやるからな)
 そう、春香が愛斗を好きである為に忌々しいあの男を潰すことが出来ない。
(俺って……妹思い)
 だが、雪哉が夢で見たように春香を抱いたなら、愛斗など飽きるかもしれなかった。
(春香……俺のテクで何回もイったしな)
 愛斗程度では春香を満足させることは出来ないだろう。
 もちろん雪哉もいつもあんな風に女を抱いているわけではない。
 はっきりいってほとんど手抜きで抱いているが、アレが大きいおかげで女は満足しているようだ。
 あれほどたっぷりと愛情をこめて、抱くなどは春香以外にありえないことだった。
 雪哉自身もあんな風に抱ける自分がいるのかと、新たな発見をしてしまったほどで。
「そっかぁ……お兄ちゃんで満足させて……快楽に溺れさせたらいいんだな」
 そう考えると急に楽しくなって、未来が輝きに満ちてくる。
(これって危ない考え? でも春香なら分かってくれるよな)
 愛斗と変わらないのではないかと思いながら、雪哉は愛しい春香にキスを落とした。
「もう……お兄ちゃん……我慢できないから……覚悟しろよ」
 優しく囁くと春香の口元が緩んだ気がして、ふっと微笑む。
 淫夢を見た雪哉は月明かりの中で、春香を手に入れる算段を企てて楽しげに笑みを浮かべるのであった。
 それは何年先になろうとも、春香のためなら労力は惜しまないといった笑みだった。   






とある雪哉の淫夢 了 
 









            
  

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