先輩、僕の奴隷になってよ《番外編01》とある雪哉の淫夢

番外編01《1》



番外編01ー1

** とある雪哉の淫夢 **
 
  

   大学に入った春香は強引な勧誘に負けて、雪哉の所属する部に参加させられた。
 雪哉は本当は得意であるサッカー(この大学はフットサル)のサークルに入りたかったようだが、それを諦めた。
 華やかで女子でも入りやすいテニスサークルを選んで春香をわざわざ勧誘したのだ。
 少しは体を動かそうと春香は思い、仕方ないとテニスサークルに入った。
 雪哉は大学一年といっても高校から有名らしく、この大学ももちろん養父が経営していることもあってか、ひっきりなしに女が寄ってきていた。
 雪哉の華やかな容姿や、金目当ての女がいつも取り巻いてくる――相変わらず派手――である生活。
 雪哉はモテているが、やはり恋人を作ろうとしない。
(好きな人がいるから?)
 何となく雪哉に恋焦がれる相手がいるのを知っていた。
 そろそろ教えてくれるかと思い聞いてみると――一人に絞るのが難しいといかにもモテる男の発言をして真意をはぐらかされる。
 知らない人からは雪哉と春香が付き合っているのかと勘違いされるほどだった。
 それほど雪哉がいつも春香の傍にいるから勘違いされるのも仕方がない。
 双子の兄ということは伏せていて、雪哉はその責任からか高校の時より春香にくっつく時が多かった。
 ここでは邪魔する奴がいない――愛斗のことを言っているのだろうが、雪哉は高校の時より随分とのびのびとしているように見えた。
 今更、妹思いが湧いてきたのか色んなことに干渉してくることも多々ある。
 最近は、家に寄って秋子の作るご飯を一緒に食べたりすることもあった。
 自分の家は両親とも忙しいし、大学を卒業すれば養父の後継者になるべく経営学やら、社交界やらが待っているらしく今の内に親孝行をしたいと言っていた。
 逆にいつも来られて迷惑なのではと思うが、意外にも秋子は嬉しそうであった。
 そんなある日――
 サークルの新歓コンパが主催されることになった。
 もちろん法律上、アルコール摂取は出来ないが、それでも内緒で飲む人は大勢いる。
 特に新歓コンパなどは一年生が標的になり、一気飲みなどさせられるのだ。
 ちょっと前までは自分が一番年上だったというのに、今度は先輩と呼ぶ立場になるのだ。
 それが少し新鮮でもあり、上の人の命令には聞かなければと思い込んでしまう。
 それにどこにでも花形スター的存在はいるもので、このテニスサークルにもお金持ちの坊ちゃんで、いわゆるイケメンという先輩がいた。
その人目当てに入っている女子も多いと噂では聞いたことがあった。
 だが春香には愛斗がいるし、今日も新歓コンパがあると連絡したら、なんと二十時には家に帰れと言われたのだ。
 大学生になって、しかも新歓コンパは十九時半から始まる。
 たったの三十分しかいられないのはさすがに困ると言ったのだが、迎えに行くと言われてしまった。
 仕方なく諦めていたら、愛斗が養父の誕生日だということをすっかり忘れていて、食事に行って一日付き合う約束をしていたことを思い出した。
 それを聞いて春香はほっと胸を撫で下ろしたが、絶対に連絡は入れてきそうである。
 約束を守らなければ平日でも関係なく、手錠を嵌められそうで怖かった。
 春休みが終わりようやく手錠を外してくれたのだが、相変わらず過保護? 心配性? ……独占欲が強く一日に何度も連絡をしなければ安心してくれない。
 それでも春香は愛斗が好きなので、そのいいつけを守っているのだが、結講大学に入ると色んなイベントが発生してままならない時もあることを知った。
 目の届かない範囲に春香が行ってしまったので、愛斗は余計にやきもきとしているみたいだ。
 それを言うならこちらも同じ気持ちだというのに愛斗はちっとも分かってくれていない。
 天文学サークルの後輩からは、愛斗君、また告白されていましたよ、などという報告を耳にしてしまう。
 もちろん愛斗は自分から告白されたなど言ってくることもない。
 本人は別にそんなのどうでもいいと思っているからだろうが、やはりモテる彼氏を持つと心配なのである。
「春香、暗い顔するなよ。な、俺のやったやつ、きちんと飲んでいるのか?」
 鬱々と考えている春香の頭にぽんと大きな手が乗っかってくる。
 この大きさと優しい撫でかたがすぐに雪哉と分かり、くるりと振り向いた。
「雪哉のくれた薬? あ、うん一応……でも愛斗君には……」
「言うわけないだろ。そんなのバレたら、孕むまでお前を監禁しそうだしな」
「じょ、冗談にならないよ雪哉」
 雪哉は兄としてどうやら春香が妊娠しないように心配しているようだ。
 愛斗の性格を知っているのか、春香が抱かれるたびに中で射精されることが気に食わないようだった。
 そこで裏で手配して、知り合いの婦人科から手に入れた避妊薬を飲まされている始末だ。
「あいつ、絶対にお前を妊娠させる気だぜ。やべぇ、怖い男」
「はははは。確かに……尋常ではないけど……とにかく薬はありがたく飲んでいるよ。せっかくお母さんに大学に通わせてくれているもん。卒業はしたいしね」
「金銭に困ったら俺に言えよ。ていうか、今も母さんには俺が出すって言っているんだけどな。息子の世話にはなりませんって。意外に頑固だよな」
 雪哉は双子の兄と春香に知られた時から、やたら甘やかしてくる。
 お金に困ったら言えなど、勉強が分からなかったら教えてやるなど、少し調子が悪かったら病院へ連れて行くなど、今はモーニングコールまでかけてきて春香を起こしてくれるのだ。
 そしてなぜかおやすみの連絡もしなければならない。
 家に戻りおやすみという声を聞かないと安心できないという理由だそうだ。
 愛斗とは違った過保護度を発揮してくるが、こういうのも悪くはないと思った。
 軽そうで本当はそうではなく優しい、頼りがいのあるお兄ちゃん。
 その人に守られているのであれば、春香は怖いものなどなかった。
「ていうか、今日の新歓コンパで酒なんて飲むなよ。春香。二年の大城……あいつ手が早いらしいから」
「大城……? ああ、話題のイケメン先輩?」
 女子が騒いでいたので名前は覚えているが、顔はぼんやりとしか浮かんで来ない。
「どんな顔だっけ?」
 春香がそう言うと雪哉はぷっと吹き出して安心したような表情をした。
「まぁ、仕方ないよな。春香の周りは俺みたいな美形と、愛斗がいるもんな。そりゃ他の男は劣るってもんだな」
 雪哉は春香好みではない派手で軽薄な部類ではあるが、本当は中身のあるいい男だと分かれば見方が変わってくる。
 魅力的な切れ長の瞳を流し目すれば、女性より色香があってどきりとしてしまう。くすんだ金髪は首元まであったが、今は少しカットして頬にかかる程度だ。
 高校の時より爽やかになったが、その精悍さは一層艶やかになっている。
 身長もモデルのように高くて、すらりと手足が長い。
体型もがちりとしていて、遊んでいる割には筋肉が綺麗に乗っていた。
本人は実は筋トレマニアだと漏らしていたことがあったが。
キスしたくなる肉感的な唇は艶めいていて、いつも女子が奪いたいと噂しているのを聞いていた。
見れば見るほど確かに整った顔で、春香は今頃雪哉の格好良さを知る。
「おい、おい、可愛い顔で見つめるなよ」
 雪哉がじっと見られていたことに気がついたのか、少しだけ頬を染めて顔を逸した。
「妹に見られたぐらいで照れてどうするのよ。いつも色んな女性から熱い視線を送られているくせに」
「その分、俺はお前をあつ〜い視線で見ている、うん、焦げ付くほどに」
「焦がされるのはちょっと……遠慮しておく」
いつものふざけた調子で雪哉が笑い、春香も一緒になって笑う。
 そんなくだらない話をしながら、新歓コンパの居酒屋へ足を運んだ。
 すでに三十人ほど集まっていて、早めに宴の席が始まっていたようだ。
 雪哉はもちろん春香の隣りに座って、適当につまみを食べていたが、徐々に酒が入った先輩達が騒ぎ始める。
 一年の男子は目をつけられ、アルコールを飲まされてしまう。
 特に目をつけられたのは、言うまでもなく雪哉であり、派手で女子にモテるのが気に食わないようでアルコールを一気飲みさせられた。
「ちょっと、雪哉……大丈夫?」
 心配して見ているが、雪哉は何でもない風に飲み干し、今度は先輩にアルコールを渡した。
「もちろん、先輩も飲んでくれるんでしょ?」
 雪哉の挑発的な物言いに先輩は簡単に乗ってしまい、そこから雪哉と一気飲み対決が始まった。
「心配するな、春香。高校の時から飲み慣れてるし」
「へっ? あんた高校の時から飲んでたの?」
「あ、やべ。今のなし……とにかく父親も酒が強かったんだ、大丈夫だって」
 父、夏樹が酒に強かったと聞いて春香はへぇと感心している間、雪哉はぐびぐびと飲み、一人の先輩を潰した。
 それを見て挑戦してきた先輩を次々と潰していく、雪哉。
 場は盛り上がり、どんちゃん騒ぎの中ですっと隣りに寄ってくる人物がいた。
「春香ちゃんは、飲めないの? いや、まだ飲んじゃ駄目かぁ」
 なんだか間延びした喋りが気持ち悪くて、振り向くと噂のイケメン先輩、大城が爽やかな笑みを浮かべる。確かに格好いいかもしれないが、雪哉や愛斗に比べれば劣ると思った。
 それは単なる身内びいきかもしれないが。
(大城先輩か……何だか面倒そう……)
 ちらりと雪哉を見るが、まだ飲み比べ対決をしているようでこちらに気がついていない。
「じゃあ、これ飲みなよ。ノンアルコールカクテル。甘いけど爽やかでおいしいんだよ」
 大城に勧められて春香は口に含んだ。確かに爽やかで飲みやすくなっている。
「おいしいですね」
 そう言うと、大城は機嫌よくしたのかもう一杯同じのを春香に飲ませた。
(あれ?)
 飲んだ後に少しだけ目眩がして、視界がぼんやりとしてくる。
「春香ちゃん、大丈夫?」
 大城の声がやけに大きく聞こえて、ぐわんぐわんと脳の中で反響した。
「あ、ちょっと、洗面所へ……行ってきます」
 体が火照り熱くなってきて、肌がピンク色に染まってくる。
 春香がふらりと立ち上がり、よたよたと洗面所へ歩いて行った。
洗面所で鏡に映すと顔が真っ赤になり、もの凄く火照っている。
 ハンカチを取り出して、水に浸けて絞った後に顔を冷やした。
 洗面所から帰る途中で、ぐいっと手を引っ張られて、春香は暗い部屋に押し込められた。
 中は物置のようで、掃除道具や色んなものが置かれている。
 閉められたドアの隙間から明かりが漏れて、それだけは確認できたが目の前に立つ人物の顔は暗くて見えなかった。
「雪哉……?」
 ぼんやりする頭でそれだけを呟くと、体は押されて床に倒される。
 雪哉がこんなに乱暴にするはずがないと思い、上体を起こそうとしたところ上からのしかかられた。
「嫌っ……誰っ……」
「しー、静かに。春香ちゃん。怖がらなくていいよ」
 段々慣れてきた視界に映ったのは、大城であって息がかかるほど顔を近づけられている。
「大城……先輩……」
 驚いてしまうが、じたばたと動くと頭がふらつき思考を奪っていった。
「ちょっと……アルコール強かったかな……泥酔より反応ある方が好きなんだけど」
 大城がにやりと不気味に笑い、今更アルコールを混ぜたカクテルを飲まされたことに気がついた。
「カクテルってジュースみたいで気がつかなかったでしょ?」
 大城が酒臭い息を吹きかけ、春香の胸をまさぐり始める。
「や……止めて」
 手で押し返すが酔っていては力が入らず、暴れているせいで余計スカートの裾がめくれあがってしまった。
 大城がすぐに両手首を上に持ち上げ床に縫いつけると、春香の動きを抑制した。
「どうして……」
 虚ろな頭で聞き返すと、大城は平然として言い放つ。
「だって……シタいから」
「こんなことしなくても大城先輩……モテるじゃないですか」
 いつも女子が取り巻きとして周りを固めているのを知っている。
 それなのに酔わせてまでしようと思う気持ちが理解出来なかった。
「取り巻き達はもう食っちゃってるしね」
 呆れるようなことをあっさりと言われて、春香は全然雪哉とは違うと思った。
 一瞬でも似たようなタイプだと思ったことに反省してしまう。
 雪哉はああ見えて、ファンクラブの子には手を出していなかった。
 外で一夜限りの相手というのはいたらしいが、こんな風に酒を飲ませて無理やり行為に及ぶ卑怯な真似はしない。
「春香ちゃんは、雪哉君がいつも一緒にいてガードが堅くてさぁ」
「じゃあ、もう諦めて下さい」
「でも、あの遊び人の雪哉君が執着するほどの子でしょ? 春香ちゃんのえっちがよっぽど気持ちいいのかなぁ〜て。俺、いつも想像してたんだよね」
「へっ?」
 雪哉とはそういう関係ではないと言いたかったが、頭がくらりとして視界が霞んだ。
 雪哉は酒に強いのに、春香はどうやら弱いようである。
「春香ちゃん、可愛いし、妙に色気があるっていうの? なんか、エロいっていうかさ〜。う〜ん、肌がすべすべで気持ちいいね」
 大城がいつの間にかブラを取り外し、春香の胸を揉みしだく。
「ちょ、ちょっと止めて下さい……」
「時間がないからなぁ〜、先に入れちゃお」
 大城の手がするりと滑って、スカートを腿までたくしあげると自分の脚を間に入れてくる。
 春香の腿は大きく割り広げられて、大城の手がショーツをやわやわとなぞった。
「ま、待って……」
「大丈夫、たっぷり気持ちよくさせてあげるから。一度、俺を知れば離れられなくなるからさ〜。春香ちゃんも明日から俺の取り巻きに入れてあげるね」
 大城の取り巻きなどになりたくもないが、頭がふらふらとして段々と眠気すら出てきた。
「春香ちゃん、まだ寝ちゃ駄目だよ〜。俺の腰使いを覚えてもらわなきゃ」
 ショーツが無理やりずり下ろされ、大きく脚を持ち上げられた。
「ああ〜もっと明るいところで見たいな。春香ちゃんのおいしそうなのにぃ。そっか、明日からは昼にしたら見れるね。俺の一番のお気に入りにしてあげるから」
 大城が唾液を自分のモノに擦りつけ、春香の秘部にも塗りつけてくる。
「ああ、早く入れたい〜」
 大城が切っ先でぬるぬると秘裂の間をなぞり、荒い息を吐き出していた。
「もう、いいかな〜」
 大城の動きが止まり、切っ先が蜜壷にあてがわれる。
 切っ先が花びらを割り広げた瞬間――
「春香〜! ここかっ!」
 ドアがバンッと開く音がして、眩しい光が春香の盲目を焼いた。
「は? てめぇ何してんだ、このゲス野郎!」
 雪哉の声が怒りを帯び、すぐに大城は春香から体を離されてバシっと殴る音が聞こえてくる。
 大城がもう、許してくれと泣いているのが聞こえてくるが抗えないほどの眠気が襲ってきた。
「おい、春香大丈夫か? 春香?」
 ゆさゆさと肩を揺さぶられたが、そこからぷっつりと意識は失われた。







            
  

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