河畔に咲く鮮花  





 数日が過ぎて、パーティにも飽きたのか、最近の蝶子は屋敷を出て、外出する日々である。実家にも帰っているようで、この離れには蘭と公人だけになった。
 公人は変わらず蘭の傍につき、身の周りの世話をする。
 公人のマッサージはあの日から蘭に忠誠心を見せようと、足の指を舐めるようになった。
 だけど感情のない瞳で舐められても、公人のことを男として意識することはない。
――犬に舐められてる?
 そんな感覚になり、蘭はいつも足を舐めている公人を見下ろしていた。
 それでも一生懸命にしてくれる公人のことがかわいく見えた。
 そんなある日、蘭は体調を崩し、熱を出してしまう。
 寝室で寝る蘭を甲斐甲斐しく看病してくれる公人。
「蘭様、寒いのですか?」
 熱が出ると体の芯から寒気が襲ってくる。どれだけぶ厚い布団を被っても震えは止まらない。
「蘭様、失礼します。僕が暖めます」
 公人が布団に入り込み、蘭の体を包むように抱き締めた。
「……公人君……風邪がうつっちゃう……」
 熱に浮かされ、蘭は公人の心配をする。
「蘭様にうつされても平気です」
 公人はそう言ってもう一度だけ蘭を抱き締めた。公人の体からはいい香りが漂い、それを嗅ぎながら蘭はようやく眠りに落ちる。
「……蘭様……」
 公人は寝入った蘭の体を自分の体に押し付けるようにして激しく抱き締めた。
 二日もしたら蘭の熱はさがり、体調も元に戻った。
 汗を掻き、衣服が張りついて気持ち悪かったが、まだ入浴は医師から禁止されている。
 公人がタオルと桶を持って来て、蘭の衣服を脱がせた。公人の前で裸になることはもう抵抗はない。
 公人にされるがまま蘭は体を拭いてもらった。
 だが、濡れたタオルで体を拭かれると、乾くまでの間が寒く感じる。
 鳥肌を立てているのを見て取って、公人はタオルを置いた。
「蘭様、申し訳ありません。寒いのですね」
 公人は拭き終えた上半身に上着を掛けて、なにをするかと思いきや蘭の両足をグイッと左右に広げた。
「き、公人君? どうしたの?」
 お風呂で毎日洗ってもらってはいるが、いつもはほとんど足を閉じた状態に近かった。
 少しだけ開いて、そこをタオルで洗ってもらう。だから、ここまで開かれたのは初めてで、動揺を隠せなかった。
 さすがに秘部をじっくり見られるのは恥ずかしい。しかも二日も洗っていないのに。
「タオルではなく、僕がこの舌で綺麗にします」
 公人の言葉に衝撃を覚える。一瞬、なにを言われたか理解が出来ない。
 だけど公人は言った言葉を実行すべく、蘭の足の間に顔を埋めた。
「ま、待って、公人君。そこは汚いから……んっ」
 ちろりと公人の舌先が淫唇をなぞった。足を閉じようと思っても、公人の力は思ったより強い。
 二日も洗っていない秘部を公人のような貴族に、人形のような美しい青年に舐められて蘭は恥辱に震えた。
「お願い……止めて……公人君……臭うでしょ……だからっ……あっ……んっ」
 恥ずかしくて仕方ないのに公人は止めずに、二枚の花びらを口に含んでちゅっと吸いあげる。     
「……僕は蘭様の犬です……どこでも舐めます……だから、お望み下さい。もっと僕に……」
 甘い言葉を囁き、公人の唇は花びらを吸いあげる。敏感になっている蘭は恥ずかしさよりも徐々にだが快感の方が上回ってきた。
 公人の赤い舌が蠢いているのを想像するだけで体の奥が痺れる。
「……蘭様、もっとお舐めしますね」
 それでも公人の声に興奮の色はない。淡々と喋り、蘭の秘部を舐め上げる。
 公人の指が優しく花びらを左右に開き、蜜口に舌が届いてきた。
「んっ……んっ……」
 少し蜜を滴らせているそこに公人の舌が差し込まれゆっくりと柔襞を舐められた。
 公人の舌が滑らかに蜜壺の中で蠢く。女に興味がないと思えないほど、女性の器官を知っている舐め方に驚く。
「……ん」
 音も立てずに公人は蘭の蜜壺の蜜を吸いあげる。蘭だけが腿をひきつらし、その快感に身を委ねた。
「……蘭様……他に舐めて欲しいところはありますか? おっしゃって下さい。お望みを……」
 公人はそれだけを告げて、また蘭の蜜壺に舌を差し込んだ。蘭の子宮がじんと疼きだし、いつの間にか腰を微かにくねらせていた。
「も……少し……上……舐めて……」
 たまらず蘭はそんなことを言ってしまう。一瞬我に返って、撤回しようとするが、公人は柔順にそれを聞いた。
「……蘭様、了承しました。こちらですね……」
 公人の指がスッと蘭の包皮を剥き、珊瑚色の珠を露わにさせる。そして優しく口に含み、舌先でちろりと舐め始めた。
「あっ……んっ……」
 痺れが脳にも伝わり、蘭は大袈裟に体を身震いさせる。敏感にもなった淫芽はすでに大きく膨れていた。
 それを丁寧に公人は優しく吸ったり舐めたりしている。 
 だが、やはり感情がこもっていないせいか、荒い息遣いも聞こえないし、音も立てずに静かに作業を繰り返している。
 蘭だけが喘ぎの声を漏らし、公人の舌に夢中になっていた。
 ――ダメだわ、意識が飛びそうになる
 雪との行為の時は絶頂に達しないままだった。
 蘭は突きあげてくる快感の波を下肢から感じ意識を集中させる。
 だが公人は淫芽から唇を放してその行為を止めてしまう。
 蘭がうつろに見ると、公人は綺麗になりましたと言って、さっさと桶とタオルを片付けた。
――そんなぁ……達しそうだったのに
 下肢が熱く火照り、疼きを残したまま蘭は放置される。
 それから蘭は回復し元気にもなったが、体の疼きだけは止められなかった。
 自分で慰めようと試みたが、いつも公人が傍にいてはその行為に耽ることもできない。
 その上、公人はマッサージで足を舐める行為に、蘭の秘部を舐める行為をつけ加えてきたのだ。
「さぁ。蘭様。今日も綺麗にいたします」
 お風呂の前の蘭の秘部を舐める。それが公人にとって、忠誠の証だと思ったようで、犬のように蘭のを舌で綺麗にした。
 だが蘭にとってはその行為は疼きを増すものであった。
 椅子に座ったまま、足を広げ、公人が蘭の秘部を静かに舐める。
 時には、庭で立ったまま蘭は公人に跪づかれて舐められたこともあった。
 いつの間にか蘭はその背徳的な行為に溺れ、公人に自ら舐めてと注文をつけるようになる。
「き、公人君……今日もお願い」
「はい、分かりました蘭様」 
 公人はいつでもどこでも嫌がらずに、蘭の秘部を業務的に舐めた。
 ――これは、公人君にとっては仕事
 公人の変わらぬ態度が蘭にとっては救い。
 ただ機械のように、無機質な瞳のまま、音も立てずに舐める。
 感情のない人形に舐められていると考えれば雪に対して罪悪感が募らない。
 悪い言葉で言えば、道具を使用している。
 気持ちも感情もない道具をしようして、秘部を舐められている。
 蘭はそう――公人のことを扱っていた。
 だがいつも公人は蘭が絶頂に達する前に舐めるのを止めてしまう。
 蘭の疼きは頂点に達し、限界がきていた。






 





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