河畔に咲く鮮花  




 
  重たげに揺れる尖端を持ち、腿に膝を割り込ませてきた義鷹が秘裂に肉棒をあてがってくる。
「蘭、いいかい。私を刻みつけても」
 一瞬だけ義鷹の表情が真顔に戻り、切なげに見下ろしてきた。その瞳が物狂おしいほどの熱情を孕んでいて、胸が締めつけられる。
「愛しているのだ、お前をこの世界の何よりも――」 
 甘く切なく囁かれる声が、胸にひしひしと迫る哀切な想いとなって心に響いてきた。
 ぐっ――と張り出した切っ先が蜜壷に埋まった瞬間、せきを切った思いを打ちつけてくるかのように、一気に奥まで突き立てられる。
「ああっ……ぁっ……義鷹様……っ……」
 じん――と鈍い痛みが走り蘭は思わず喘ぐ。奥を貫いたままの状態で、義鷹がじっと見下ろしてきた。
 その表情は恍惚に染まっていると同時に、泣き出しそうな心憂(こころう)いものを孕んでいる。
「やっと……一つに繋がれた……私はこの日を……気が遠くなるほどの時間を待って……」
「義鷹様……」
 義鷹の流麗な瞳から一筋の美しい雫が流れて、滑らかな頬を滑り落ちていった。 
 そのまま蘭の頬に落ちてきて、どうしてか涙を舐めてあげたくなる衝動に駆られる。
――泣かないでください、義鷹様
「ふふ……情けないね……私は……蘭の前だと雅さも誇りもなくなる……愚かで小さな男だと思い知らされるよ」 
「そんなことないです。義鷹様は私を助けて下さいました」
「違うよ。本当の意味で助けられたのは私の方なのだよ……蘭」
 慈しむ瞳で見下ろされて、蘭は少しだけ首を傾げた。
――本当の意味で私が助けた?
 どういう意味だろうかと蘭は考えたが、義鷹がゆっくりと腰を揺さぶりはじめて下肢に意識が集中してしてしまう。
「蘭、動くよ……っ……」
 義鷹の肉棒がずるりと入り口まで引きずり出され、濡れた襞が引き伸ばされる。
「ぁっ……うっ……義鷹様っ……」
 すぐさまねじり回すように奥まで押し込まれ、快美感が全身に広がっていく。
 涙を拭わないままの陶然とした表情が、あまりにも扇情的で蘭を淫猥な気持ちにさせていった。
「今だけは……私を愛してくれ……」
 情感たっぷりに囁かれると、倒錯的な痺れが脳を支配し義鷹に翻弄されていく。
 腰を大きく引いて、何度も深くに穿たれ、太いくびれでしつこく膣奥をなぶられた。
「ぁっ……ンっ……義鷹様っ……ふっ……」
「ここがいいのだね、蘭……お前の気持ちいいところを突いてあげるから、たくさん悦がっていいんだよっ」
 義鷹の巧みな腰使いで濡れ襞を擦りあげられると、理性が突き崩れていき甘やかな喘ぎ声が漏れる。ぬちゅ、ぬちゅといういやらしい水音が卑猥に響き、腰を密着させたまま何度も奥へ深く咥え込まされた。
「ああっ、蘭っ……凄く……絡んできて……そんなに蠢かせたら……私が先に達してしまうよ……くっ……」
 恍惚に染まる表情で言われると劣情に駆られ、ますます中が肉棒を咥え込んだままぎゅうっと締まる。
「うっ……ぁっ……蘭っ……」
 なやましい吐息が漏れ、義鷹の腰を叩きつける律動が早まり、美しい髪を乱した。
――義鷹様……綺麗……
 花のような美男が淫らに腰を揺さぶり、何度も己の欲望を突き立てる様はどこか情欲を掻き立てられる。いつの間にか唇を塞がれていて、口づけを受けながらも、激しく腰を打ちつけられた。
「はっ……ぁっ……ンっ……」
「ほら、ここ。ごりっとしている。子宮が下りてきたの分かるかい?」
 義鷹の長茎がぐっ――と奥まで到達し、子宮口を容赦なく突き上げてくる。
「やっ……はっ……ぁっ……義鷹様っ……そこは……」
 掠れた声しか出てこず、甘美な快感から逃れようとするが、身体を押さえつけられ一層深く押し込まれた。
 ごりっ、ごりっとそこをしつこく突き上げ、大きく押し回されると、また激しい尿意が襲ってくる。
「駄目です……義鷹様……そこ……また……出ちゃいそうです……ぁっ……やめて」
 涙混じりに拒絶するが、か細い声しか出ずに義鷹に揺さぶられるまま快感の波を待った。
「いいよ。悦がり狂っていいのだよ……蘭」
「狂うな――んて」
 すでに精神が崩壊しそうなほど、耐え難い快楽がせりがってきている。
腰を密着させたまま太いくびれがぐるりと大きく押し回され――
「ぁっ……うっ……ごめんなさいっ……義鷹様っ……出ちゃいますっ……ぁっ……やっ……」
 繋がったままの状態でびゅく、びゅく、と透明が液体が放出され、義鷹の腹を濡らしていく。
「まだまだだよ、蘭――っ」
 義鷹が腰を深くまで沈め、角度を変えてぐりっとえぐるように中を掻き回した。
「ひっ……やっ……ぁっ……嘘っ……またっ……来ます……あっ……はっ……」 
 がくがくと腿が震え、脳の芯が蕩けそうな快感が突き上げてきて、またびゅく、びゅくと飛沫が飛び散り畳を濡らしていく。
「蘭……これで終わったと思っていないよね? もっと狂うんだ」
「そ――んな」
 絶望的な言葉をかけられ、義鷹の腰が激しく突き立てられると、蘭は四度目の潮を吹き上げ、理性など崩されてしまった。
「ぁっ……あっ……義鷹様っ……」
 だらしなく開いた口からは淫らな喘ぎ声しか出ず、義鷹に何度も絶頂を味わせられ、酩酊した心地で惚けたままになる。
「蘭……っ……もっと、もっと悦がって……狂って……いいのだよ……っ」
「も……駄目……ですっ……義鷹様……うっ……ぁっ……」
 膣奥をいやらしく責めたてる淫らな腰使いに翻弄され、自分が泣いているのか喘いでいるのかが分からなくなってきた。
 ぐちゅぐちゅに溶けた秘部に義鷹の肉の杭が何度も抜き差しされ、快楽に身を焼かれる。
――おかしくなる……
 すでに狂い始めているのかと思うほど、強烈な快感に翻弄され、獣のように自ら腰を淫らに振っていた。
「ぁっ……義鷹様っ……凄いですっ……ぁっ……おかしくなります……っ……もう……私は……」
――悦がり、狂います
 惚けたままの口からはたらりと涎が垂れ、それを義鷹が美味しそうに啜りあげる。
「甘くていやらしい味がする……あっ……くっ……イキそうだよ……ああ、蘭……私もね狂っているよ……とっくの昔に、ね……」
 義鷹の息が弾みはじめ、角度を立てて勃つ肉棒がさらに膨張し、膣道をみっちりと圧迫してきた。
「だから蘭が狂ったとしてもいいのだよ。私はそれでも愛せるから」
 苦笑混じりの中に切なげな吐息を織り交ぜ、義鷹の律動が早まっていく。打ちつける間隔が短くなってくる。
「蘭……っ……イクよ……一緒に……高みにいこう……っ……」
「義鷹様っ……ぁっ……駄目です……ああっ……」
 義鷹の肉棒がずん――っと押し込まれ最奥に達したと同時に、耐え難い甘い快感が全身を痺れさせた。
「義鷹様っ……ああっ……」
「蘭……私もイクよ……お前の中にたくさん……注ぐから……っ……くっ……」
 腰を沈めたまま張り出した切っ先から、びゅくり、びゅくりと何度も雄の精が膣奥に放出される。
 腰をわななかせ、義鷹は最後の一滴まで放つと、繋がったままの状態で口付けてきた。
「蘭……」
 義鷹はそれだけを一言だけ放ち、感極まった声を微かに震わせている。
「これを外してあげるね……」
 義鷹が手首を縛る紐をしゅるっと外し、赤くなった跡に丁寧にキスを落とした。
 優しく想いのこもった仕草に胸が締めつけられ、じっと義鷹を見上げてしまう。     
 義鷹の美しい瞳が潤んで、そこに蘭が映り込み、二人は息がかかる近さで見つめあった。
「愛している」
 もう一度、甘く囁かれて――義鷹は蘭を優しく抱き締めたまま、感慨深く目を伏せた。
 それは義鷹の長年の想いを浄化出来た瞬間でもあり、願いが叶った瞬間でもあった。
義鷹の伏せた瞳からきらりと光る涙が伝い落ちる。
 それを見た蘭は微かに震える義鷹の背中に腕を回し、頬に流れる涙を舌で拭ってあげた。
「――っ」
 義鷹が驚きに目をみはり、はらりとまた真珠のような雫を頬に滑らせていく。
「お前は……いつでも同じことをしてくれるのだね……」
 そう言われても蘭には覚えがなかった。
それでもなぜか、泣いている義鷹の涙を拭ってあげたくなる衝動に駆られる。
 悲しみを取り除いてあげたいと――純然たる想いだけが胸の中を駆け巡っていく。
「ありがとう……私はお前さえいてくれれば――蘭以外の世界が壊れて消えても構いはしない」
 烈しい熱情をぶつけられ戸惑いを浮かべるが、それでも義鷹が美しく微笑んでくれるのでそれだけで良かった。
 義鷹には悲しい顔は似合わない。
 いつでもこのように花咲く笑顔を浮かべて欲しい――。
 それだけを想い、蘭はもう一度だけ義鷹の頬を伝う涙をぺろりと舌で拭った。
 義鷹が嬉しそうに屈託ない笑顔を浮かべ、蘭を腕の中にかき抱く。
それは明るい月がさえざえと輝く――美しい夜のことであった。










 





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