河畔に咲く鮮花  

長虎の決意5


 
 ***

「蘭、ほらお菓子を食べて。口を開けてごらん」
 そこから数日経っても長虎は蘭にぴったりと付きっきりで一時も離れてくれなかった。
「長虎様……一人で食べられます」
 長虎は後ろから抱え込んできて、膝の上に蘭を乗せたままお菓子を口に運んでくる。
 いつもの縁側でお茶をしていたのだが、この数日は長虎がそうやって蘭に与えていた。
「駄目だよ……食べて……ほら、口を開けてごらん」
 無理やり口に運ぶので、蘭は仕方なくお菓子をぱくりと食べる。
「蘭……僕の手にもまだお菓子がついてるよ……ほら食べて」
 お菓子を食べるのはいいが、長虎はいつもそうやって蘭を困らせた。
「ほら、口を開けてお菓子を舐め取ってくれないかい」
 長虎は指を舐めるまで止めてくれないのを知っているから恐る恐る口に含む。
「ンっ……」
 長虎の指を含みちろりと舌で舐めるが、それだけでは許してくれない。
「駄目だよ……そんなんじゃいつまで経っても取れない。僕がお手本を見せてあげよう」
 長虎は蘭の手を取ると躊躇いもなく口に含んだ。
「ンっ……長虎様……」
 熱い口腔内に含まれ、粘ついた舌が指に絡んでくる。
「ほらっ……蘭……口が止まっている……僕のも舐めて……」
 長虎がそういいい、自分の指を動かせて蘭の舌に絡め始めた。
「はっ……長虎様っ……」
 指の動きが激しくて顔を背けようとするが、すぐに長虎に顎を掴まれる。
「駄目だよ……きちんと舐めないとお仕置きするよ……」
 ふふ、と密やかに笑み、長虎は蘭の指をちろちろと舐め回す。
「お仕置き……ですか……」
 長虎のお仕置きは想像を逸しているところがある。それをされては困ると一生懸命に舌を絡め始めた。
「うっ……ンっ……いいね……」
 長虎がびくんと肩を震わせるので、嫌でも興奮を掻き立てられる。
――長虎様が感じている……
 いつも取り澄ました長虎が、表情を崩して頬を赤く染めているのを見るだけで体が火照ってきてしまう。
「はっ……ぁっ……蘭っ……っ……」
 ねっとりと舌を蠢かせると、長虎が艶を帯びた喘ぎを漏らした。
「今日は……積極的だね……ようやく蘭も分かってくれたのかな……ンっ……」
 興奮を帯びた声が髪をくすぐり、ぞわりと背筋が粟立つ。
 それと同時に膝の上に乗っていた腰の部分に違和感を感じた。
「ふふ……蘭……指を舐めてくれているから……僕のがこんな風になったよ……」
 蘭の余った手がぐいっと長虎の下肢に押し付けられた。
「――っ」
 隆々とそびえる長虎のモノが服の中で苦しそうに反り返っていた。
「ほら……撫でてみて……」
 甘い熱が長虎の体から発されてきて、蘭はそれに逆らえない。
――冷たい匂いは嫌……
 長虎に手を押さえつけられて、ズボンの下で屹立しているモノをそっと擦る。
「くっ……」
 長虎の何とも言えない艶かしい声が耳をくすぐり、びくんと大きく腰をくねらせた。
「長虎……様……」
 体をねじりちらりと長虎の顔を盗み見すると、色気を帯びた表情が飛び込んでくる。
 頬はすでに桜色に染まり、うっとりと目を細めて髪を乱している様は艶やかで悩ましい。
 上位の雄を自分の手だけで思うように操っているような気がして、嗜虐心が煽られていく。
 そう考えていると手が勝手に長虎のモノを扱きあげていた。
「うっ……ぁ……っ……」
 長虎の口から蘭の指がずるりと落ちていき、腰をびくん、びくんと大きく跳ね上げる。
 唇の端からとろりと滴り落ちる粘ついた液が、顎から滑らかな首筋に伝い落ちていった。
「はぁ……長虎様……」
 長虎が興奮を昂らせているが、全ての主導権を握っているのは蘭の方。
 手だけでこの綺麗な獣を手懐けているのだと思うと、秘部がじわりと熱くなってくる。
「いいよ……蘭っ……もっとして」
 長虎は我慢が出来ないのか、ズボンを引き下ろしてずるりとお大きくいきり勃った肉棒を取り出した。
 すでに膨張し、どくんどくんと脈打っている。
 初めて長虎のモノをじっくり見てしまい、ごくりと唾を飲み込んでしまう。
「そんなに……じっと凝視しないで……くれるかな……こんなに明るいと恥ずかしい……」
 長虎が可愛らしいことを言うので、蘭は目を丸くした。
「さぁ、蘭……お願い……今日は僕を啼かせて……」
 とろんとした美しい瞳が囁いてきて、手が長虎によって誘われる。
 蘭は綺麗な雄を啼かせたくなり、手を何度も上下に擦りあげた。
「う……くっ……」
 長虎が気持ち良さそうに瞳を薄めるたびに、蘭はねっとりと扱く。
 鈴口に溜まる粘りを帯びた液をまんべんに塗りつけ、滑りをよくした。
「はっ……ぁっ……蘭っ……」
 液が潤滑し摩擦の手助けをしてくれ、何度もいやらしく手を動かせた。
「ぁ……いいよ……蘭っ……凄く」
 興奮し怒張した肉棒が赤く充血して、艶を帯びて淫猥に色づいていた。
「長虎様……」
「ぁ……あっ……蘭っ……くっ……」
 追い詰めらたような長虎の声が、どうしようもなく切なく感じる。
 じっくり扱いていた手を激しく動かしはじめると、長虎は悩ましく髪を振り乱した。
「いいっ……蘭っ……もう……イキそう」
 腰を手の動きと同じく揺さぶり、長虎は官能的な唇をわなわなと震わせた。
「長虎様……」
 恍惚に酔いしれる長虎の淫らな喘ぎが短い感覚になり、限界が近いのだと悟る。  
「蘭っ……いいよっ……もう……イクからっ……くっ」
 蘭が肉棒を扱きあげた瞬間、長虎が喘ぎが大きくなって腰を高らかに突き上げた。
「あっ……っ」
 いきおいよくびゅくりと放出される熱い精が蘭の手にぼたぼたとこぼれ落ちる。
「くっ……ぁっ……はっ……」
 長虎は最後まで搾り出すと、はぁはぁと肩で何度も息を繰り返した。
 手にこぼれ落ちたむわりと鼻をつく雄の匂いに蘭はぞくりと寒気を催す。
「蘭……ごめんね……そんなところに出してしまって……」
 息を整えた長虎はまだ潤んだ瞳で、それだけを謝ってきた。
「いえ……」
「手を洗ってきていいよ……その後で……仕切り直ししようか」
 長虎が意味ありげに微笑むので、蘭は首を傾げる。
「……お茶を飲み直しってことですか?」 
 すっかりお茶は温くなってしまい、もう一度飲み直すものだと思っていた。
 だが長虎はふふ、と意地悪に笑いさっと手を蘭の太ももの間に潜り込ませる。
 ショーツの秘裂に指をねじ込み、くちゅりと音を立てて濡れているのかをわざと確かめた。
「……やっぱり……濡れてるね……僕のをしていて……興奮したのかな」
 長虎が優雅な指で何度も秘裂を上下になぞりあげる。
 そのたびにくちゅり、くちゅりと卑猥な音がして、蘭は頬を赤らめた。
「や、止めてください……長虎様……」
「止めて欲しいのかな? ここはこんなにして欲しいと主張しているのに」 
 長虎の瞳が細められ、第二関節がくっと曲がったと同時に興奮して尖った淫芽を押し潰される。
「あっ……」
 そのまま指の腹で何度もねっとりと押し回され、つま先に甘い痺れが広がっていった。
「ほら……また濡れてきた……」
 長虎がくすくすと耳元で笑い、執拗に淫芽を揉み回す。
「も、もう駄目です。手を洗ってきます!」
 また勃ちあがり始めた長虎のモノを目にして、危険を感じ蘭は膝からさっと下りた。
「いいよ……後でたっぷりと可愛がってあげるから……」
 長虎が余裕ぶった表情でにやりと笑い、蘭をあっさりと解放する。
「そ、それは……困ります……」
 断るが、きっと蘭の意思など通じないだろう。
 逃げようとすれば身体を縛り上げて、動けないようにするぐらい長虎には出来る。
 それがたやすく想像出来て、蘭は困ったと思いながらばたばたと洗面所に走っていった。


 





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