河畔に咲く鮮花  

第四章 四十二輪の花 3:終わらない夜 後編


 
  ***

 口を犯され、蘭は絶望しながら息を整える。
 だが、静音はそれだけでは気が収まらないのか、未だに興奮状態である。
「なんだ、その顔は。最低だと言っていたお前に私を責める権利などないっ」
 蘭を押しのけ、静音の怒りはアキに向く。蘭は我に返り、アキだけは守ろうとすぐさま視線を上げた。
「そうやって、乱暴に扱うなんて最低じゃないか。下虜でも心はある。蘭はね、お前たち姉弟より何倍もいい奴なんだよ」
 アキがそう言ってくれたことがジンと蘭の胸を打った。毛嫌いされていたかと思ったが、そうではなかったようだ。
「はははっ、くだらないね。下虜など所詮、下賤な民だ。それに最低だと述べたお前のここはどうなっている?」
 静音は意地悪く笑うと、アキのふわりと広がるスカートを無理やり引き下ろした。
「止めてよっ! スカートを元に戻せっ!」
 静音はアキを見て失笑し、今度は下着に手をかけて引き下ろす。
「見てみるがいい、この姿を。偽善もいいところだ」
 静音に言われて蘭はその姿を目の当たりにして、あっと目を丸くした。
――アキちゃん……それって……
アキの下半身には女性にはついていないものがついている。それも先ほどの静音と同じように、隆々とそびえ立っていた。
 可愛いアキから想像もつかない、血管が浮き出した雄の昂ぶりはびくびくと震え、興奮しているのか赤く充血している。大きく張り出した傘の鈴口からは、粘りを含んだ液がとろっとこぼれだしていた。
「アキちゃん……」
 信じられないと目を大きく見開く蘭に静音はおもしろそうに顔を歪めた。
「おや、知らなかったのか? こいつは家の者に女として育てられた男だよ。覇者の争いに巻き込まれたくない両親は、秋也にわざと女の格好をさせていたんだ。小早川家の有名な話だ」
「小早川……秋也……?」
 ――アキちゃんが男……?
 アキヤと男の名前を初めて聞いて、蘭は茫然自失とする。
 女だと思っていたアキがまさか男だったとは。
「こいつ、最低だと罵りながら、実は股間をびんびんにおっ勃たせて、お前が咥えていたのを見ていたんだ。滑稽だろ」
静音がせせら笑い、アキの下半身を指差しながら蘭を眺め回した。まだ唖然としている蘭のそばに寄ると、またばしりと頬を殴りつけてくる。
「つっ――」
 蘭はその場に崩れ落ち、何度も縄を解こうと後ろで手首を動かせた。静音はにやりと 不敵に笑うと、蘭の着ているつなぎのファスナーを一気にひきおろす。
「止めてっ! いやっ!」
 抵抗する蘭をまた殴ると、つなぎを剥ぐように脱がされる。その上、ショーツまで力任せに取られると、静音は蘭の背後に回り、宙に抱え上げた。
 後ろからがしりと両足を広げたままの格好で抱き起こされ、下半身がアキの目の前に晒される。
「駄目だよ、見ないで、アキちゃん」
 蘭はそう言うがアキは頬を上気させ、食い入るように広げられた陰唇を見つめる。はぁと乱れた息を吐き出し、アキの肉棒はぐぐっと先ほどより猛々しく反り返った。
「ひひひっ、ほら、見ろっ。いやらしくびんびんに肉棒勃起させていやがるっ。お前、童貞だろ? 下虜で筆おろししてやるよ」
 静音が狂気じみた笑いをあげて、けたけたと不気味に笑っている。
――こいつは頭がおかしい
 蘭は必死で身をよじるが、優男のどこに力があるのかが分からない。腿を持ち上げて広げる腕の力は強い。
――爪が……痛いっ……
静音の長い爪が蘭の内腿に食い込み、白い肌にうっすらと赤い血が浮かんだ。だがその痛さよりも、柱に縛り付けられて、突っ立ったままのアキに向かって、じりじりと寄られていく恐怖の方が大きかった。
「お願いっ、止めてよ、それだけは!」
 首を横に何度も振って、静音にお願いするが、笑い声をあげているだけで止める気は一向にないらしい。
「下虜の分際で嫌がるなっ。小早川家は覇者の中でも一流の家だぞ。童貞を奪わせてもらうだけありがたいと思えよっ。ひひっ」
 静音はけたけたと笑うだけで一向に取り合う気配はないようだ。
 ただこの場の楽しいゲームに興じているだけで、狂気はどんどんと増していく。
 とうとう蘭の広げられた女陰が反り返ったアキの肉棒に到達してしまう。
「ひひっ、粘り液で入りやすくしてやるよっ」
 アキの鈴口からこぼれ落ちている滴りに、女陰の割れ目を当てられて、上下に擦りつけられる。
「ああっ、ううっ……」
 それだけでアキはびくりと腰を震わせ、艶めいた喘ぎ声を漏らした。
まだまだ溢れてくる粘りを含んだ液は、ねちゃねちゃと糸を引きながら、蘭の秘裂に塗りたくられる。
「どうだ、もういいか? ひひっ」
 静音が蘭の体を上下に振るのを止めると、開いた花びらの間にアキの張り出した傘を当てた。
「お願い、止めてっ……!」
 悲痛に声を上げるのも虚しく、静音は蘭を抱えたまま体ごと前に前進させた。
 ねちょりと卑猥な音が奏でられ、開ききった花びらの間に、アキの堅い切っ先が埋まる。
「……ああっ……凄いよ……ボクの肉棒の先っぽが入っちゃったよ……ああぅ……」
 アキはしっかりと埋まっていく様子を見ながら、はぁはぁと荒い息を吐き出す。静音は不気味に笑い、蘭の体をどんどんとアキに向けて押し込んでいった。
「……はあっ……ずぷずぷと埋まっていくよ……ボクの勃起肉棒が食べられちゃう……ああっ……熱くてっ……気持ちいいっ……」
 アキが唇を半開きにして、端から涎を滴り落とすと、腰を前後に揺さぶりはじめる。
「もっと……もっと……奥まで入れて……ボクのを食べちゃって……はあっ……ンっ……」
 焦らされるように埋め込まれるアキの肉棒を見ながら、蘭の中はひくりとわなないた。
 無理やりされている背徳感に、最後まで挿入されたくないと力むが、それが返って中を締め上げてしまう。
 それが気持ちいいのか、アキはすでに理性を失い、腰を突き出しては奥まで貪欲に蘭の中を貪ろうとした。
「ひひっ、お望みの通りに最後まで食わせてやるよっ」
 静音がぐっ――と押し込み、蘭の膣奥に一気にアキの反りかえった逞しい肉棒が突き立てられる。
「ううっ……っ……」
 奥まで容赦なく届くと、蘭のつま先がジンと痺れ、腰に鈍い痛みが走った。
 それでも静音は力を抜くことなく、大きく蘭の腰を前後に揺さぶり、抽送し始める。
 ねちゃくちゃと濃厚な蜜の音が混じり合い、乱れた空気によって蝋燭の炎が揺らめいた。
「いいっ……凄くいいっ……なにこれっ……絞られるよっ……ああっ、引き抜かれるたびに、襞がいやらしくめくれてるっ……もうっ……気持ち良すぎて……たまんないよっ……」
 アキが抜き差しされる自分の下肢に目を落とし、柱に縛り付けられながらも、腰を揺さぶった。
「ひひっ……気持ち良さそうだな……」
 静音がぴたりと動きを止めて、ゆっくりと蘭の体を離していく。
 ずるりと肉棒が引き抜かれ、秘裂からはアキの粘りを含んだ滴りが糸となって引かれていた。
「どうして、止めちゃうの? お願いだから、もっとさせてよっ」
 アキが泣き出しそうな顔で静音に懇願をする。静音は蘭をその場に下ろして、今度は寝かせると両手首の縄を柱にくくりつけた。
「お前も納得したか? 最低だと罵りながら、本当は貪欲にこの女を犯したいって気持ち。私と一緒だと言うなら、続きをさせてやる」
 静音が悪魔のように囁き、アキにそう語りかける。蘭はこの狂った男と違うと言って欲しいとアキに一縷の望みをかけた。
「……うん、最低でもいいよ……無理矢理でもいいから……ボクは、蘭を犯したい……だから、解いてよ……」
 アキの瞳はすでに正気を失って、眩しいばかりの光が消えていた。ただ蘭を犯したいという気持ちで、暴力を奮う最悪な静音に懇願をする。
「アキちゃん……そんなっ……」
 蘭は体を震わせながら、太ももを固く閉じる。
 静音はまた気持ち悪い笑いを漏らし、アキの縄をなんなくほどいた。
 静音は寝そべっている蘭の太ももを大きく広げて、ふらふらと歩いてくるアキに見せつけた。
 先ほどまで接合していた女陰はアキの粘りを含んだ液でぬらりと艶を帯び、赤く充血している。
「ああっ……凄い……赤く充血して、ぱっくりと開いて、ひくひく蠢いている……早く……そこに入れたいよ……」
 アキがごくりと大きく喉を鳴らして、蘭の秘部を見ながら唾を飲み込んだ。
広げられた腿の間にアキは自分の体を滑り込ませて、いきり勃った肉棒を秘裂にあてがう。
「アキちゃんっ……」
 蘭が息を乱しているアキを見上げるが、気持ちは通じないようだった。
 一気にずんっと肉棒を奥まで押し込まれて、激しいほどの抽送が始まった。
「ううっ……ああっ……いいっ……凄く……締まって……気持ちよくてたまらないっ……」
 ぬちゅぬちゅと音を立てて濡れた肉壁を、いきり勃つ若い肉棒で容赦なく突きあげられる。
 蘭は襞をめくりあげるような激しい動きに、意識を保っているのがやっとだった。
「もう駄目だっ……こんなのもたない……あうっ……ボクのがぎゅうぎゅう絞られて……射精しちゃうよっ」
 アキの雄の塊はぐっ――と質量を増し、蘭の膣壁の中をみっちりと圧迫した。
 技工もなにもない荒々しい腰使いに揺さぶられながら、蘭はアキの絶頂が近いことをしる。
ここまできたら早く行為を終えて欲しいと蘭は、だらりと力を抜いた。
「ひひひっ……肉棒ミルクをたくさん、下虜に飲ませてやれよ。いっぱい奥で射精してみろ。最高に気持ちいいぞ」
 静音の言葉によって蘭は現実に戻ると、目を剥いてアキを見つめる。
 光を失ったアキの瞳はどす黒い欲望だけが渦巻いて、蘭の中に射精しようと大きく腰を揺さぶりはじめた。
「アキちゃん、お願いだから中だけはっ……」
 蘭が身を起こそうとしたら、その唇はアキによって塞がれる。
「ンっ……アキちゃんっ……」
 ぬらりとする粘ついた感触に口腔内を撫で上げられて、蘭は思わず声を漏らす。
「いいでしょ……蘭っ……ボク、いっぱい出したいよっ……ああっ……ンっ……肉棒射精するからっ……たくさん出すからっ……ああぅ……イクっ……イクっ……子種射精を奥に注ぐからっ……飲んでっ……ああぅ……」
 何度も何度も最奥に腰を沈められながら蘭は、恍惚とした表情のアキを見つめる。
「もっ……イクっ……いっぱい射精するからっ……あっ……ンっ」
 アキの腰がずんっと最奥を突き上げた瞬間、若い雄の精がびゅくりと容赦なく吐き出された。
「くっ……うっ……まだ……出るっ……」
 腰を深く打ち付けたまま、アキは腰をびくびくと震わせ、快楽の余韻に浸っている。中に出された絶望感を感じて、蘭は悲しく目を伏せる。
――アキちゃん……
 アキに犯されたことに胸を痛めつけたが、元はといえば静音がそそのかしたことだ。その静音に視線を投げると、今度は下半身を突き出して、ぺろりと唇を舐めとる。
「ひひっ、今度は私が犯してやる。ありがたく思え」
 静音がアキを乱暴に押しのけ、最奥に埋まっていた肉棒がずるりと引き抜かれる。
 蜜壷からたらりと白濁した液が流れ落ち、花びらがひくりと卑猥にわなないた。
「今度は私を満足させろっ」
 静音が腿を割り、体をすべり込ませるが、蘭は恐怖で体が強ばる。
「やだっ! もう止めてっ!」
 蘭は体全体を使い、暴れるが静音の拳が振り下ろされた。また殴られると目を閉じたが、いつまでたっても痛みはこない。
 恐る恐る目を開けると、静音が静止したまま、だらりと額から血を流していた。
「ひっ!」
 蘭が喉の奥をひきつらせ、怖々と様子を見ていたが、静音の体は真横に倒れていく。 その後ろではアキが壷を手に持ったままその場に突っ立っていた。
 どっと音を立てて静音は倒れて、どくどくと頭から血を流し、冷たい床に血だまりを作る。
「アキちゃんっ……?」
 壷を持っていたアキは床に転がして、静音を力任せにその場から動かした。助けてくれたのかと思ったが、アキは蘭の元へ戻ってくると、またいきり勃った肉棒を手に持って、体を滑り込ませてくる。
「アキちゃん?」
 蘭は驚いてアキを見つめるが、一度覚えた快楽にすっかり溺れているようだった。
「こんな男には蘭とスル資格はないよ……ボクはこれでも、蘭のことを気に入っているんだ……気持ちがない静音より、気持ちがあるボクの方がいいでしょ? 長虎も蘭のこと好きみたいだけど、こういうのは早い者勝ちだよね?」
 アキははぁと艶めいた吐息を吐き出すと、一気に肉棒を最奥まで容赦なく打ち付けてきた。ずんっと腰に鈍い痛みが走り、蘭は圧迫される質量に苦しむ。
「もっと、もっとシタいよっ……ボクの勃起肉棒が収まりそうにないんだっ……ああぅ……気持ちいいっ……ねっ、いいでしょう。下虜とか関係なく蘭にいっぱい射精したいんだよ……はあっ……」
 アキは覚えたばかりの荒い腰の振りを、無我夢中で肉壁を擦っては貪り尽くす。   
 反り返った雄の角度が、遠慮なくぬちゅぬちゅと肉襞を掻きわけ、最奥を何度も何度も強く突き上げる。深く奥をえぐられるたびに、蘭の脳も一緒に揺さぶられて、堕落の快楽へ堕ちていく。
「気持ちいいよっ……蘭っ……ああっ……あうっ……肉棒が肉襞にぎゅうぎゅう絞られてっ……はあっ……いいっ」
 深い抜き差しで腰が打ち付けられると、包皮に隠れる淫芽を一緒に擦って、蘭は耐え難い疼きがつま先から這い上がる。
「蘭も気持ちよくなってきた? ンっ……奥が凄いっ……ひくひく蠢いて……また肉棒ミルクを射精しそうっ……ああっ……」
 栗色の髪が蝋燭の炎を弾き、なまめかしく揺れる様を見ながら、蘭はアキのうっとりとした表情を見上げた。何も考えられなくなり、アキに唇を貪られると、意識が深い闇に沈んでいく。
 壁に映るアキの揺れる影を見つめながら、蘭はこのままこの行為が朝まで続くと感じ取り、諦めの境地で静かに目を閉じた。










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