河畔に咲く鮮花  




 
「分かったか蘭、諦めろ。お前に道はない」
 自分の一方的な欲望をぶつけ、雪は蘭のショーツに手をかける。悲しくてまだ反応を示していない秘部をまさぐり、雪は体を前後に反転させた。
 蘭は驚いて目を見開く。雪も下着を脱ぎ捨て、蘭の顔に跨った形になったのだ。
 真下から雪の肉径がぶらんと垂れさがっているのを見上げる。 
 お互いがお互いの器官を見ているという淫靡な姿――。
 雪は蘭の太ももをぐっと左右に開くと――ああ、と感嘆の声を上げた。
 良く考えて見れば雪にそこを見られるのは初めてだ。
 しかも義鷹に茂みをケアされて、淫唇が丸見えの状態である。
 急に恥ずかしくなって、蘭は脚を閉じようとしたが、雪が力任せにこじ開けた。
 雪の麗しい顔が近付くのが分かる。興奮に昂ぶる息をかけられて蘭の白い肌はぞわりと粟立った。
 けれども蘭はすぐさま思い出す。今日は気持ちが落ち込んでいて、早く寝た為に風呂をいただいていない。
 上からまたがる雪の肉径はいい香りがした。蘭が寝ているから、もしかして気を遣って一人で入ったのかも知れない。
「ま、待って、雪、見ないで。私……お風呂……入ってないの……」
 急に恥ずかしくなって蘭はごにょごにょと口の中で小さく呟いた。
「入ってなくてもいい。お前は汚くない……この臭いが俺を狂わせるんだ」
 雪はむせ返る蘭の匂いにうっとりとした声を漏らし、二枚の花びらをぐいっと指で開いて秘部をじっくりと観察した。
「あ、やめ……て、汚いから……」
 蘭は羞恥に瞳を潤ませて、身をよじる。洗っていないのに、汚くないわけがない。
「蘭、綺麗だ……ひくひく蠢いて、いやらしい……凄いエロイな……」
 蘭の顔の上で雪の肉径がぴくんぴくんと元気よく震えた。蘭の淫唇を見て興奮しているのだろう。
 洗っていない秘部でも興奮してくれる――そう思うと、蘭の感情も昂ぶってきた。
「ああ、蘭っ……蘭っ……俺のも……咥えて……」
 雪の肉径がびくんと激しく動き、角度を立てて反りあがっていく。蘭は雪のを口に含んで、義鷹に教えられたように舌を使って舐め上げた。
「くっ……あぅ……蘭……いい……すご……気持ち……いい」
 雪が快感に背をのけ反らせ、太ももをわなわなと震わせる。
「俺も、蘭の舐めてやる……なっ?」
 雪が上から覆いかぶさり、包皮を剥いて露わになった淫芽をちろちろと舌で舐め出した。
「はぁ……んっ……」
 雪のを舐めながら蘭もつい扇情的な声を漏らす。お互いは時間も忘れて、夢中で器官を貪りあっていた。
 雪は時間が経つに連れて、自分で腰を揺らし始める。
「はぁっ……はぁっ……雪っ……」 
 蘭は雪のいきり勃った肉径に喉を侵され、淫らな喘ぎ声がこぼれた。
「気持ちいい……蘭の口……蘭ももっと気持ち良くしてやる……から……」
 雪は悩ましげにと息を漏らすと、長い指をずぷりと蜜壺に差し込んできた。
 くちゅりと言う淫猥な音を立て、雪の優美な指が奥へ、奥へと埋まっていく。
 指が侵してくる度に、蘭の爪先がひきつり、腿がぴくぴくと震えた。
「蘭? 痛いか? ああっ、指をこんなに咥えこんで、いやらしい……そんなにもっと欲しいのか?」
 雪は熱に浮かされたように喋り、もう一本指を増やした。
「んっんっ、あっ……ンっ」
 指を二本挿入されて圧迫感を感じるが、背筋に心地良い痺れが走っていく。蘭は自然に歓喜の声をあげてしまった。その反応が雪は嬉しいのか、重なった指をゆっくり抽送し始めた。
「ああっ、蘭。なんていやらしい音を出してんだ……聞こえるか? ほらっ、この音聞けよ……」
 雪は意地悪く言うと、わざと水音を立てて、くちゅくちゅと濡れ襞をなぞる。
「あっ……雪っ……はげ……し……」
 蘭は雪の肉径をずるりと口から出し、思わず艶を帯びた声を吐き出す。
「蘭っ、扱いて……俺のも扱いて」
 雪が甘える声を出し、蘭は口から出した肉径をぼんやりと見上げた。蘭の唾液で艶を帯びた肉径は、はち切れるほどに反り勃ち、太い傘がびくびくと震えていた。
 びきびきと血管が浮き立つ赤く充血した長い棒を見て、蘭はまた劣情に駆られる。
 可愛く甘えてくる雪を苛めてやりたい。そんな嗜虐的な芽が生まれてくるのだ。
「雪……ここを扱いて欲しいの?」
 つーっと指先で反り返った棒の筋を撫であげる。
「っ……ああっ……」
 声にならない喘ぎを吐きだし、雪はぶるぶると腰を震わせた。
「頼む……蘭、扱いて……」
 そう言われて蘭は、昂ぶった興奮を抑えられずに雪のをゆっくりと手で扱き始める。
「んっ……いい……蘭の……手……すご……もっと激しく……」
 雪が荒い息を吐きだし喘ぎをあげる。蘭はお返しにねちゃねちゃとわざと音を出して扱きあげた。
「ああっ……蘭、気持ち……いい。俺も……」
 雪は負けじと、蘭の蜜壺に差し込んだ二本の指をぐりぐりと中で回転させる。 
 濡れた膣壁を擦り、指の根本まで挿入すると、くっと鋭角に折り曲げた。
「ああっ……雪っ……それ、凄い……」
「気持ちいいだろ? また蜜が溢れてきた……かわいいな……蘭」
 雪はそう言って、第二関節を曲げたまま奥を小刻みにふるわせる。
「ゆきっ……ああっ……」
 たっぷりといやらしく蠢く指は、今度は浅く深く抜き差しをし始める。その次々に繰り出される指の技に蘭は翻弄された。
「す……ご……い……雪……そんなの……されちゃ……無理……」  
 蘭は強烈な快感を与えられ、雪の肉径を扱く手から力が抜けそうになる。
「そうだろ、いいだろう? もっと気持ちよくなれ……俺を刻みつけてやるから……蘭」
 雪はずぷりと奥まで押し回すようにねじ込んで、余った指で器用に剥かれた淫芽を揉み上げる。
剥き出しになった淫芽と濡れ襞の両方を指で責め立てられ、蘭の意識は飛びそうになった。
「あっ……んっ……それ……すごい……よ……雪……」
 反応を見ながら雪の指の動きは激しさを増す。それと同時に自分の腰も振り、蘭の手の中で肉径を暴れさせた。
「俺も……も……駄目……一緒に……いこ……な? 蘭」
 くちゅくちゅと言う淫猥な音がどっちから発せられるものか分からなかった。お互いはお互いに貪りあい、大きな絶頂の波を待つ。
「あ、あ……蘭、口で……受け止め……で……る……」
 雪が腰を浮かし、蘭の口に肉径をあてがってきた。口に含むとその滾る怒張は大きく張り、硬さを増す。
 雪は我も忘れたように腰を揺さ振り、蘭の口の中で何度も出し入れを繰り返した。
 そのしながらも雪は蘭の膣壁を執拗に責め立てる。
 雪の顔が落ちてきたと思えば、肥大した淫芽を長い舌で押し付けるように舐め、重ねた指で巧みに膣の奥を突いてきた。
 蘭ももう腰が震えて限界だった。そんなことをされたら、すぐに大きな快感の波がやってくる。
「蘭、いこ……一緒に……あ、もう……だ……め……で……る……で……る……ああっ、ああっ! 蘭っ! 蘭っ! 蘭っ! あああっ!」
 雪は叫ぶと全身をぶるぶると震わせた。その瞬間、蘭の口の中は雪の吐き出した青い精でいっぱいになる。
 むせ返る雄の匂いを嗅ぎながら、蘭も絶頂に達しつま先が痺れると電流が全身を駆け抜けた。
 意識がふわりと白く飛び、余韻を残した体が細かく痙攣する。
 蘭は雪の雄の精を全て飲み込んで、乱した息をゆっくりと整えた。雪は肉径をずるりと口から引き抜くと蘭に向き直り、優しく抱擁してきた。
「蘭……凄い……最高だ……」
 蘭は雪の逞しい胸元に頬をくっつけて、少し汗でじっとりとした肌の感触を楽しむ。べたついても雪の汗だと嫌じゃなかった。
 そんなことをぼんやりと考えていたら、いつの間にか雪はすーすーと寝息を立てて寝ている。こういう無防備な寝顔を見ていると、いつの間にか蘭は気持ちを許してしまう。
 強引でいつも振り回されて、蘭の意思もないというのに、なぜだか雪を憎めない自分がいた。この瞬間に、蘭が雪を殺そうと思えば出来る――それほど危うい状況なのに雪は信用しているのか、深い眠りについているようだ。
 蘭は一瞬だけ汗で髪がしっとりと張り付いた、雪の滑らかな首に手を伸ばしてみた。
 空気を吸うたびに上下する喉仏に手をかけたら――それとも、今頭を置いている枕で窒息させれば、女の蘭でも殺せるだろう。
 つーっと喉を撫でると、雪はびくんとまつ毛を震わせるが、それでも気がついた様子はなく寝入っている。
 子供のように安心しきって寝ている雪を見れば、そんな馬鹿な考えがさぁーっと音を立てて去っていった。
「あなたは本当に変な人ね……雪」
 実質国を治めるトップの織田家の末裔・信雪が毎夜、下虜の寝所に来ては逢瀬を重ねる。
 それでも最後までの行為に及ぶことはなく、雪は満足して寝てしまう。
 そこに何の真意があるか分かるわけもないが、変わり者と呼ばれている雪を見つめる。
 「おやすみ……雪」
 これがいっときの仮初めの行為だとしても、今は雪の胸の中が心地よく感じた。
 蘭は少しだけ微笑んで雪の長いまつ毛を食むと、逞しい腕の中に抱かれる。
 これから先、もっと過酷な道が待っているとも知らず、蘭はこの一瞬だけの幸せに浸りながら、意識を闇に手放していった。






 





21

ぽちっと押して応援して下されば、励みになりますm(__)m
↓ ↓ ↓



next /  back

inserted by FC2 system